
食べ放題について (01年5月初出、21年10月リバイバル掲載)
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食べ放題について (01年5月初出、21年10月リバイバル掲載) 先月、Oi!Sがオーディションに合格したのを祝して(?)、吉祥寺の食べ放題に行った。
全部で6人、一人1,980円で焼肉、すし、カレーにケーキにフルーツが食べ放題。
「いやいや、タベホーもしばらく行かんうちに豊富になったもんじゃのう」 などと思いながら、さてどんなもんかと楽しみにしていた。
吉祥寺の駅を降りてしばらく北へ歩くと、そこに目指している店があった。
学生の団体などで賑わっている。いっぱいなので外で待つ事になった。 ふと見ると、店の窓にはかわいらしい顔の絵が描いてある。この店のキャラクターなのだろう、「バイキング」をモデルにしたような、角のついた帽子のようなものをかぶっている。当然、笑顔である。
その笑顔に誘われるかのようにメンバーもちょっぴりわくわくしながら、「食べ物を取る時は少しずつにしましょう。その方がたくさん食べられるんで。」とか、「制限時間は90分やから、間で30分のインターバル取りましょか。」などと、おまぬけ食いしん坊大作戦を立てていた。
そして20分ほど待たされた後、中へと案内された。いよいよ戦闘開始である。
腹が減っていた。 作戦とは裏腹に、最初の焼肉をこれでもかというほど皿に盛り、次から次へと口に運んだ。「空腹は最高の調味料」という言葉もある通り、味付けなんてなんのその、ゴリゴリ食べていた。
しかしそれも束の間、薄くてお世辞にもうまいとは言えないその肉たちに、簡単に飽きてしまったのである。
「いやいや、落胆なんてしてないで。がっかりするはずないやん、だってこれ楽しみにしてたバイキングやもん。」 なんてつぶやきながら、今度は思い切って分厚い肉を取ってきてもらい、時間をかけてじっくり焼いて食べてみた。
うまい! ・・・わけはなかった。
う〜む、さっきの質の悪い肉をただ分厚くしただけじゃないか。 食べても食べても、空腹感がなくなるだけで何の幸福感もない。 食べてる最中に、なぜこれを食べてるのか、果たして自分は本当にこれを食べたいのかが分からなくなってしまったので、気を取りなおして、今度はすしにチャレンジしてみることにした。
あ〜! 種類が少ない〜! それに、ご飯で腹をふくらせて他の物が食べられなくなるのはいただけない。
そう思っていたにもかかわらず、なぜか次にカレーに挑戦してしまった。 あ〜! インスタントだ! こんなとこで豪華なカレーを期待するのもムリだが、しかしこれは・・・ ムダに腹をふくらせてしまった!
「いやいや、なんのなんの! こちとら昼を少なめにして備えてきたっちゅうねん! アホかっちゅうねん! そんなもんプ〜じゃ!」 などと雄叫びを心の中で発しながら、今度は、大好きな桃やパイナップルなどのフルーツにチャレンジした。
あ〜! しなびている〜! むしろ缶詰のフルーツの方がうまいぞ!
仕方がないのでケーキ、アイスクリームへと移行していった。 あ〜! 普通だ〜! というよりむしろ安もんの味だ〜!
さすがに、ここまでくれば落胆してしまうしかなかった。
そこで思った。 昔バイキングに来た時は、もっと楽しくもっと嬉しく、満足感もあんなにあったのに。 なぜだ? 今のこの徒労感は・・・ 空腹感が満たされれば満たされるほど、別の、満たされない何かが増大していく・・・
こんな感覚、今までなかった。
どうやら自分も、幸せとは量ではなく、質なのだと気づいてしまったようである。
食後、Oi!Sの舞台本番に向けてちょっとした作戦を話し合ったのだが、よく覚えていない。眠気がおそって聞いてなかった。体中の血液が腹へ回って、頭が回らなかったようである。
ムダだ。ムダである。 ただ食べ続けたという徒労感。 正直言って、食べ放題はもういいやと思った。
と結論づけたいところだが。
後でメンバーの一人に言われた。 「君そう言うけど、けっこう楽しんでたやん。」
うむ! いかにも!
よく考えれば、自分が一番楽しんでいたような気もする。 いろんな気持ちを感じさせてくれ、しかもこんなエッセイまで書かせてくれた。
食べ放題、万歳!
なんかワケ分からん結論になってしもたなぁ・・・
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