演技におけるテクニックと感情
|
演技におけるテクニックと感情 何年か前のことです。あるスペイン料理店に行きました。 そこは食事をしながらフラメンコが見られる所です。
踊るのは日本人でした。私にとっては食事もいいけどむしろフラメンコがメイン。 ちょうどマイムを本格的にやり始めた時期でもあり、ジャンルは違えど肉体表現を学ぶことができればと、かなり気を張って見ていました。 (そんな見方が必要な場所ではなかったのでしょうが・・・。)
お店で見せられるわけですからレベルが高く、魅力的で、安心して見られます。とてもきらびやかで雰囲気もあります。しかしよくよく見ていると、色んなタイプのダンサーがいることに気づきました。
テクニックはすごいが淡々としたダンサー。 ものすごく動きにキレがあってカッコ良い。しかし、感情はそれほどこめられてはいないようで、淡々としています。
感情はすごいがテクニックが足りないダンサー。 感情がこもっていてこれぞ悲哀のフラメンコ、なかなか年季も入っているダンサー。しかし感情がこもりすぎているのか、少し動きがギクシャクするようにも見受けられました。
美貌を発揮するが雰囲気とは合わない笑顔のフラメンコダンサー。 非常に可愛らしく、持って生まれたキャラクターを存分に発揮。しかし、その時の曲の雰囲気とは合っていないようにも思えました。
どれが好きかは個人の嗜好によりますが、この時に思いました。「感情表現」と「テクニック」のバランス、これは必要だが非常に得がたいもののようだ、と。そこに、やりたいものと持って生まれたキャラクターがフィットするかどうかということ・・・。
周りのお客さんは時々話しながら、そして食べながら気楽に見ています。そんな中、料理に手もつけず、目を皿のようにして見ている自分は場違いだったでしょう。しかしこの時の洞察はその後、常に自分の頭の片隅にあるものとなりました・・・。
|
|