追悼: パントマイムの神様 マルセル・マルソー
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マルセル・マルソー 〜先日(07年9月22日)、パントマイムの神様と呼ばれているマルセル・マルソーがフランスで亡くなりました。上田雄士は03年10月、鎌倉にて行われたマルソーのワークショップに参加し、3日間みっちりとその指導を受け感銘を受けました。今回はそのワークショップ後、このホームページに掲載し、またマイム通信にも転載したコラムを再度アップしたいと思います〜
パントマイムを世界に広めたと言われるフランスのパントマイミスト、マルセル・マルソーが、5年ぶりに日本でのソロ公演を行うというので見に行った。(2003年10月) 現在70歳代後半、「パントマイムの神様」と呼ばれている人である。5年前に大阪で見たのだが、東京に越してきて何の因果かパントマイムの大海原へ漕ぎ出でてしまった自分としては、やはり見逃すわけには行かない。神奈川県は大船まで行って来た。 こんなに素晴らしかっただろうか? 5年前見た時より、あきらかに深い感動と尊敬の念が自分の中から押し寄せてくる。凄すぎて全てを受け止めきれない。最後の作品は有名な「仮面づくり」だったのだが、おもしろおかしいにも関わらず、感動して動けなくなっていた。自分自身がマイム作品を作る側になった今、その凄さを以前より何十倍も感じるようになってしまったのかもしれない。 「明日からこんな人のワークショップを受けるのか・・・」。 果たしてそれに自分が値するか?? そんな思いで自宅に帰った。 そう、今回はこの公演の後、3日間のマルソーのワークショップを受講することになっていたのである。インターネットで情報を仕入れ、それに参加申し込みをしていたのである。 3日間、やられっぱなしだった。 自分の刺激になればいい、しかもマイムの神様。自分のキャリアにおいて絶対損にはならないだろう、そんな思いで申し込んだ自分が大間違いだった。刺激どころの騒ぎじゃない。根本からひっくり返された。期間も経験も浅いながら、自分なりに形作ってきたマイム観が一切合切崩された。 当たり前かもしれない。向こうは戦後60年間、誰も見向きもしないようなマイムの公演を世界中で行い、名声と賞賛を勝ち取ってきた人である。そしてマイムを芸術として、今もなお追求している人である。
その年齢にも関わらず、3日間ずっと、参加した我々マイミストや役者、ダンサーにマイムを教え、熱く語り、またマイムに関してだけではなく、広く芸術について、文化について、宗教について、とめどなく語られるその言葉には、全てエネルギーがこもっていた。 そう、マルソーを一言で表すなら、「エネルギーの塊」である。 自身も何かにつけ、「エネルギーです! エネルギーを出しなさい!」と我々に檄を飛ばしていたし、テクニックや動き、感情表現、その全てにわたってとてつもないエネルギーを放っていた。
技術や表現、その全てに多大なる影響を受けたが、この「エネルギー」に関しての感銘が一番勉強になったかもしれない。 かくして3日間は、嵐のように過ぎ去っていった。 後にはボロボロになった自分の自我が落ちていた・・・。
この日をグラウンド・ゼロとして、また一歩一歩進んでいきたいと思います。 というより、そうするしかないです、ほんとに・・・。 〜というわけでこの半年後、上田雄士は初のソロ公演を行うことになるわけです。3日という短い期間でしたが、マイムの大きな歴史の中に体ごと突っ込んでしまったような、そんな貴重な経験でした。あれから4年、ご冥福をお祈りします・・・〜
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