沖縄の気になる境目

沖縄の気になる境目


沖縄に来て分かったことだが、沖縄県に含まれるたくさんの島々をすべて一言で「沖縄」という言葉でまとめてしまうのは、どうもちょっと難しいらしい。つまり、(大雑把に言って)沖縄本島、宮古諸島、八重山諸島では言葉が全く違っており、文化も異なっているからである。

また、与那国島は八重山諸島(石垣島とその近辺の島々のこと)に分類されることもあるようだが、石垣島とは異なる言葉・文化圏である。
さらに、沖縄本島の東340 kmのところに大東諸島があるが、ここは元々無人島で、明治時代に八丈島から最初の開拓団が入植し、その後、沖縄からの入植者があったため、八丈島や小笠原諸島の文化と、沖縄の文化が混ざっている。八丈島の島寿司を食べたり、八丈島の方言が残る一方で、沖縄民謡を唄ったり、魔よけとしてシーサーや「石敢當」を設置する風習があったりと、なかなか独自の文化を形成しているのである。

つまり、一言で沖縄と言ってもそこにはいろいろな違いがあるということである。そして、それらをこれまた大雑把な類似性でなんとなくまとめると、いくつかの文化の境目があるということになり、歴史とともに、各文化圏の間に多少の意識の違いのようなものも生んでいるようである。

自分は京都生まれの京都育ち。学校で勉強した日本史と言えば、端的に言うと中央の奪い合いの歴史である。京都では、歴史の教科書に載っているような建物が現存していたり、有名な事件があったことを記す石碑が残されているのを見てきたわけだが、沖縄や奄美諸島にはそれらとはまったく異なる歴史が流れていることを知り愕然としたことがある。

しかし、このように1つの県内でも各地域がそれぞれの文化を宿しているというのはとても面白い、と思う。これは沖縄県に限らないだろう。

このことは、中央で地方のことを一元化して考えているとわからない世界がある、ということにつながるのではないかと思う。

このグローバル化が進む世界で、そのような文化を残していくのは大変なことだし、それが優劣の考えにつながってはならないが、周りの世界と相いれながら、なんとなくある境目を感じつつ生活するのも面白い、と思ったりするのである。

以上、沖縄の気になる文化の境目についてちょっと考えてみた回でした。




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