嘉義さんぽ

嘉義さんぽ


翌日は台中のさらに南の都市、嘉義へと移動することにしていた。台鐡台中駅から特急電車で約1時間。ちなみにこの台中駅は2016年に新たに建てられており、それまで利用していた旧台中駅はなんと日本統治時代に建てられたものだった。台湾ではこういった歴史ある建物を保存しようという機運が高まっているようで、この旧台中駅もそのままの形で残されており、誰でも見学できる。そしてその横に新しい台中駅が作られたのである。

1時間の特急電車に揺られ、嘉義駅に着いた。こちらも日本統治時代に建てられたとてもレトロな駅舎だ。

駅を出て、そのレトロな駅舎の写真を撮っていると、年配の男性に日本語で話しかけられた。どうやら台湾人らしいそのおじいさん、あまりにも流暢な日本語だったので、しばらくそこでおしゃべりしてみた。台湾には日本統治時代に日本語を話していた人も多く、日本語が話せる人もいるとは聞いていたが、もうその世代はかなりのご高齢。それほどまでのご高齢には見えないこのおじいさんは、大学で日本語を勉強し、台湾の日系企業で働いていたとのこと。私たち二人を見て、普通に台湾の人が旅行で嘉義駅に来たのかなと思っていたらしいのだが、こちらが二人して日本語で話しているのを耳にして声をかけてくださったということだった。

台湾の簡単な歴史や、日本に旅行されたときのことなど、楽しくおしゃべりして別れたのだが、そのおじいさん、スクーターに乗って去っていった。台北に住んでいて今日は大学の同期に会うからこっちに来たと言っていたが、まさかスクーターで台北から来たの?何時間かかるの?しかもこの日は半袖でも暑いぐらいだった。76歳、元気なおじいさんだ。

駅から歩いて10分ほどのところにあるホテルへと向かう。途中歩いた小径は、ごちゃごちゃした生活臭のただよう面白い町並みだった。廟(お寺)もある、豆花のお店や餃子のお店もある。すると、その小道上に不意にオシャレなホテルが現れた。それが今日泊まるホテルだった。

午後2時。まだ部屋には入れないとのことだったので、チェックインの手続きだけして、ホテルの目の前の小道にある豆花のお店に行ってみることにした。この日の朝は台中のホテルのバイキングでたくさん食べ、特急列車の中であの「洪瑞珍」で買ったサンドウィッチやレモンケーキを食べていたため、あんまりお腹がすいていない。そして、夜ごはんは事前に17時ということでお店を予約していたので、今は豆花ぐらいでちょうどよさそうだ。

お目当ての豆花のお店に行ってみると、シャッターが閉まっていた。2時から開店と書いてある。もう2時は過ぎている。開店時間が過ぎているのに開いていないということは今日は定休日かもしれない、定休日とは書いてないけど、とヨメさんは言う。しかし、もうちょっと待ってみようと説得した。これは南国特有?かもしれないが、時間にルーズなだけで、そのうちに開くだろうと思ったのだ。沖縄でもよくあることだ。

2、3分待ってみる。すると、シャッターの向こう側で何やら作業している音がする。うん、これは開く、絶対もうすぐお店開くな、と思っていると、若そうなお兄ちゃんが中からシャッターをガラガラと開けた。なんとなく「いいですか?」みたいな感じでジェスチャーすると、あー、えー、まぁどうぞ、って感じで中に入れてくれた。

まだ全部のメニューの準備はできていないのかもしれないが、ピーナツ、小豆、緑豆など、たくさん入った豆花と、豆乳とシロップ少々のシンプルな豆花を頼んでみた。お店の中をワンちゃん(コーギー)がペタペタと歩き回っている。豆花を準備している飼い主のほうに行ったり、自分たち二人の座っている席に来たり、ひたすらウロウロしている。

出てきた豆花は予想以上に大きかった。とてもやさしくて落ち着く味。ワンちゃんとともにほっこりゆっくり過ごせた。

時間的にまだ部屋には入れないので、近くを散策してみた。夕方になると屋台などが出される夜市も、すぐそこの通りで開かれる。さらに歩いていくと、かなり古くからあると思われる市場があり、その先では何やらテントのようなものが小道をふさぐように建てられていた。大きな音でアナウンスがあったり、音楽が流れたりしている。この光景、東南アジア諸国をたくさん旅行したことのある自分たちにとっては、何をしているかなんとなく察しがついた。お葬式である。日本と違い、かなり派手というか、明るい音楽で送るのである。

そうこうしているうちに時間が経ってしまったので、ホテルに戻って荷物を部屋に入れ、事前に夕食を予約していたお店「林聡明砂鍋魚頭」へと向かった。

次回、「たまげたおいしさ火雞肉飯」に続く。




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