沖縄の気になる琉球舞踊


琉球舞踊を見るのが好きである。
今回は自分が思う琉球舞踊の素敵なところを挙げてみたい。おそらく、見たことがない人が大半だと思われるので(沖縄の人でもあまりちゃんと見たことがないという人はたくさんいるので)、小難しいことは避けてなるべく簡単な理由だけを述べてみたい。少しでも興味が沸いたら幸いである

〇その名の通り、琉球(沖縄)独特である
琉球舞踊は琉球で生まれ、琉球(そして沖縄)で継承されてきた踊りであり、琉球(沖縄)にしか存在しない。もちろん今では、各地に移住した沖縄の人々によってそれらの地域で継承されていたりはするが、沖縄独特の振り(こねり手、独特のすり足、空手の動きなど)は共通であり、独自のものである。

〇動きが高度に洗練されている
特に古典は宮廷芸能だったこともあり、振りや表現が高度に洗練されている。1つの無駄もなく、ゆっくりと展開され、あからさまな表情もまったくない。世界にも類を見ないほどの洗練度である。

〇速いテンポの楽しい踊りがある
古典とは異なり雑踊り(ぞうおどり。明治以降に作られた踊り)では、生活や恋愛をモチーフにしたテンポの速い楽しい踊りもある。踊り手本人が部分部分を声に出して唄いながら踊るものもある。

〇衣装も堪能できる
沖縄独特の紅型、芭蕉布や絣(かすり)などを着て踊られる。つまり高価で芸術性の高い衣装から、当時の庶民の日常の衣装までを見ることができ、それも踊りの内容によっては着方も異なっており、目にも鮮やかで楽しい。また、沖縄独特の指輪である房指輪(ふさゆびわ)を付けて踊られるものもある。これも独特で美しい。

〇1人で踊るものも複数で踊るものもある
これは他の踊りと同じかもしれないが、一人で世界を描いていくもの、複数の人がそれぞれの役柄でストーリーを展開していくもの、または同じ踊りを複数の人で踊ってきれいさや荘厳さを大きく高めたものなどがある。

〇ストーリーを感じられるものとイメージを伝えるものがある
例えば、伊野波節や花風は、踊っている人の背景やストーリーを感じる踊りであり、かぎやで風や作田は、それぞれ「めでたい」、「感謝」という思いを伝える踊りである。

〇仮面を使った笑える踊りがある
これは醜女2人と美女2人が踊る「醜童」という古典の踊りのこと。醜女側が仮面をかぶって踊るのである。その組み合わせや滑稽な動きに、思わず笑わずにはいられない。このような踊りが琉球王国の時代に作られ、現代にも受け継がれていることに驚きを感じる。

〇沖縄民謡も堪能できる
琉球舞踊は沖縄の言葉による唄(沖縄民謡)にのせて踊られる。いわゆる日本の音楽の音階とは異なる沖縄音階で展開される三線と唄も堪能できるのである。踊りの内容はこの歌詞によってより深く理解できるのだが、なにしろ沖縄の言葉で歌われているので、聞き取れたとしても意味はよく分からない。調べてみて分かるという、二度おいしい仕上がりになっている。

〇いろいろな小道具を持って踊られる
もちろん小道具を持たない踊りも多数あるが、団扇、傘、貫花、綛と枠、四ツ竹、棒(杖)などを持って踊るものがある。また、花笠をかぶったり、編笠をかぶって踊るものもある。もちろんそれぞれに意味があって持ったりかぶったいりしているわけで、それが踊りの意味に大きく関わってくることも多い。その辺も楽しみどころである。

〇同じ演目でも流派によって踊りが違う場合がある
この辺の細かいところについては自分も把握していないが、同じ演目でもおそらく古い形を残していると思われるものや、伝承のどこかのタイミングで変化したものがあるらしい。この辺の違いを知っている人はかなりの通ではないかと思われる。

〇女性の一生を表していると言われる踊りがある
これは、琉球王朝の踊奉行(おどりぶぎょう)であった玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)という人が作った、いわゆる古典女七踊りのことである。具体的には「本貫花」、「天川」、「かせかけ」、「柳」、「作田」、「伊野波節」、「諸鈍」のことである。自分が特に好きなのは、この古典女七踊りである。琉球舞踊を代表する踊りと言ってもいい、特に洗練された美しい踊りである。

以上、とても浅くて簡単なポイントから琉球舞踊を紹介したが、沖縄が誇るこの豊かな芸能をぜひ一度、機会があれば見てみてください。
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