沖縄の気になる大綱引き


与那原(よなばる)大綱曳(おおつなひき)まつりを見に行った。
毎年夏に沖縄本島の与那原町で開催される祭り(神事)であり、コロナ明けの今年(2023年)は4年ぶりに通常開催となった。

大綱引きは秋田や鳥取などでもお祭りとして行われているようだが、沖縄では特に盛んであり、糸満市や宜野湾市、伊平屋島でも行われている。中でも「与那原大綱曳」、「糸満大綱引」、「那覇大綱挽」が沖縄三大綱引きと呼ばれている。

与那原大綱曳は、与那原町にある御殿山(うどぅんやま)青少年広場で行われる。

当日、その広場に行ってみると、すでに多くの人でごった返していたのだが、与那原大綱曳では、まずはその公園まで、総重量5トン、全長90メートルもある大綱が担ぎ手によって運ばれてくるところから始まるのである。

綱は1本ではなく2本、それぞれの先が輪っかになっている。その2本がそれぞれ広場まで運ばれてくるのだが、面白いのは、この運ばれている大綱の上に支度(したく)と呼ばれる人たち(それぞれ7人)が乗っていることである。運ばれている綱の上に、微動だにせず立っているのである。

この「支度」にはテーマがあり、毎年変わるらしい。今年のテーマは、東は「琉球王国とモーイ親方」、西は「聞得大君と島津公」ということで、いわゆる琉球っぽい衣装を着た人や、武士の格好をした人が綱の上に乗ったまま、その綱が400人以上の担ぎ手に担がれ、運ばれてくるのである。

綱の前では、多数の女性たちが踊りながら綱を誘導。まわりには旗頭(はたがしら。大きな旗を担ぎ持っている)や金鼓隊(きんこたい。太鼓や鐘を鳴らしている)もいる。この踊りや金鼓隊には地元の中学生も参加している。その独特の衣装や音から、まるで異国にいるかのような気持ちになってくる。

広場にいたごった返すほどの人々が、東と西のそれぞれの陣営に参戦し始める。飛び入り参加も大歓迎とのこと。とりあえず自分たちは行く末を見守るために綱から離れておいた。

東の綱と西の綱が向かい合う。それぞれの綱の先にある輪っかを通し、そこにカナチ棒というのを通して固定すると綱引きが開始される。

この固定作業がなかなか大変で少し時間がかかる。
さぁいよいよカナチ棒が入るか?入るか?よし入った!
と思った瞬間、綱引きが突如始まった!
その瞬間、綱の上に乗っていた支度の人々は綱からひょいと降りるのである!

両チーム合わせて1000人ぐらいだろうか、東西両チームがワッセワッセと引き合う。
力はほぼ互角!なかなか勝負が決まらない!

歓声があちこちから上がりながら、2分、3分と過ぎていく。なかなか決まらない!
すると突如、西のチームがずるずると東のほうに引きずられ始めた!
そうなると止まらない、あっという間に東のチームの勝ちとなった。

勝ったほうのチームは、旗頭がガーエーというのを行う。これは、大きくて重い旗を上下へと揺らして勝ちを祝うものだ(「ガーエー」とは「争う」とか「決闘」という意味であり、通常はお盆に行われるエイサーで、別々の青年会が相手の青年会の隊列や踊りを乱そうとして戦うことをいうようです)。

これで終わりではない。この与那原大綱曳では、なんと第2回戦がある。一度の大綱曳まつりで2回戦うのだ。

2回やるのか、じゃあ今度は参戦してみるか!というわけで、私とヨメさんはさっき負けた西のほうに参戦してみることにした。綱に近づき、自分たちのポジションを見つけ、綱を握って待機。

先ほどと同様、両方の綱の輪っか部分を合わせ、カナチ棒で固定する。
カナチ棒が入るか?入るか?入った!
またもやその瞬間、第2回戦が始まった!

すごい力で引かれる!自分一人ぐらい力を抜いても特に変わらないと思うかもしれないが、そんなことはない。引っ張ってみると、自分が力を抜くと負けてしまうという危機感を感じるのである!

必死に力を入れて綱を引っ張る!こりゃ大変だ!
ここで突如、自分がゾウリで来たことに気づいてしまった!あぁ、綱引きにゾウリで参戦してはいけない!いつ脱げるか!でも自分が離れると絶対負ける(という気になる)!引き続けなければならない!

この第2回戦も、2分、3分と決着がつかない。一度、東チームにずるずると引きずられかけたがなんとか踏ん張った!すると、今度は東チームが力尽きたのか、不意に西チームがグイグイと引っ張っていく!これは勝てるぞ!勝てるぞ〜!勝ったー!

というわけで、今年の第2回戦は西の勝ち!今度は西チームのガーエーだ。

なんとがゾウリは脱げずに済んだ。しかし、気づけば両方の前腕がパンパンになっている。ダルい。明日は筋肉痛が大変やぞ、これは。。。


飛び入り参加ができるということで、本当に突如参加してしまったが、なんだかんだととても楽しかった。もし皆さんも参加できる機会があるなら、スニーカーをはいて、当日に飛び入り参加されることをお勧めします(お気楽ですみません。お祭りの準備や実行を担当する方々は本当に大変だと思います。感謝!)

以上、沖縄の大綱引きについてでした。
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