販売開始から2年10か月での現状


結論から言うと、販売実績は約350冊。自分の手売りが約130冊、Amazonで約90冊、書店で約130冊(うち沖縄の出版社の配本によるものが約30冊)となっている。

沖縄の出版社による配本は2年間で終了し、現在、各書店から返ってきたものが自分の手元に約50冊ある。残りはまだ全国の書店と出版元の倉庫にある。大きな宣伝もできない自費出版としては、かなり売れたほうではないかと思う。

できれば中高生にも手の届く金額にしたいと思い、自分で安めの値段を設定したこともあるが、作った写真集が全部売れたとしても制作費の元は取れない。最初から利益にならないことを分かったうえでの自費出版ではある。

その後、写真集の販売開始から約1年10か月経って、別の踊りの写真を追加してこの写真集のデジタル版(Kindle版)を出版した。値段は紙の写真集の半額にした。少数だが毎月何人かは見てくれているようであり、それに応じて少額の売上金が入ってきてはいる。しかし、もちろんとうてい儲けになるような金額ではなく、正直、なかなかそのあたりは難しい。

しかし、儲けになることはないとはいえ、写真集発行の反響は少なからずあった。まずは琉球新報から取材を受け、芸能欄のトップに記事を載せてもらった。また、ある雑誌におすすめの本として紹介された。さらに、モデルとなっていただいた舞踊家の中には、この写真集がきっかけで雑誌の取材を受けるようになったり、写真撮影や映像などの企画で声がかかるようになった方もいるようである。

そして、琉球舞踊に関して造詣が深い方々にも、「踊りのことを知っている人が撮っているね」と言っていただけたし、またプロのカメラマンには「アマチュアの情熱には勝てない」(←誉め言葉だと理解)と言っていただくことができた。おそらく、プロのセオリーからは外れた、プロならやらないような構図や背景処理の写真が間違いなくあるのだろうが、それを凌駕するものが見て取れたのではないかと思われる。プロのその言葉を聞いて、一生アマチュアでいようと思った次第である。アマチュア万歳!

琉球舞踊を見たことがない人にも興味を持ってもらえるように、また琉球舞踊家の方々にとっても違和感のない写真や構成にできるようにと考えて作ったのだが、どうやらその通りの反響をいただけているようである。

しかし、売上や反響ももちろん重要だが、琉球舞踊の方々にお声がけし、そして撮影しているあの時間、シャッターを切るその瞬間瞬間は、本当に何にも代えがたい極上の経験である。モデルとなっていただいた方々とあの時間を共有できたことだけでも大きな成功である。そのような時間と、その後、どのような写真集にしていこうかと悩みぬいた経験が、自分にとって何よりも大きな財産となっていることは間違いない。

以上、自費出版顛末記、これにて終了!
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