砂漠って寒いのね


お昼寝をちょっとした後、ユルタの外を見ると、運転手と現地のおじいさんらしき人が立ち話している。こちらが起きだして外に出たりしているのを見ると、この2人が近づいてきた。すると運転手、「ラクダに乗りたいか?」と聞いてきた。

実はこの1泊2日のユルタツアーには、別料金を払えばラクダに乗れるというオプションがある。現地のお金にすると高い料金だが、せっかくだし乗ってみたい。

「乗りたい。いつなら乗れる?」と聞くと、「今はどう?」とのこと。
どうやら隣にいるやたらと体の大きい、このあたりの現地人と思われるおじいさんがラクダの持ち主で、ちょうど今連れてきているという。
「なるほど。じゃあ今から乗っちまいます!」ということで、まだまだ昼寝中のヨメさんを起こし、準備して外に出た。

ほんの20メートルほど離れたところにラクダが2頭いる。見事な2コブラクダだ。
膝をポッキリ折るようにして座っている。口をクチャクチャ動かしている。
2コブの間にうまく座ってみると、突然ラクダが立ち上がった!しかも、まず後足だけを伸ばして立ち上がるため、この時点でこちらの体は斜め前45度傾くのである。思わず前へ飛び出すかと思った。

その後、ヨメさんも別のラクダ(ちょっと小さめ)にうまくまたがり、前へ投げ飛ばされることなくラクダが立ち上がった。

のらりくらりと歩くラクダ。しかし上に乗っている自分たちにとっては、バランスを取るのがなかなか難しい。
腹筋が鍛えられる。というか全身運動だ。

ポックリポックリ歩いていると、遠くのほうに家が1軒あるのが見える。
その近くに何やら囲いがあり、中には羊が何頭かいるようだ。
お隣さん、という概念があるのだろうか。その先に家があるようには見えない。なんたる大地。

ひとしきりポックリポックリ歩いていると、見覚えのあるユルタに戻ってきた。
自分たちの泊まるユルタだ。
大地にいると目印が何にもないため(もちろん現地のカラカルパクスタン人にとってはいろいろな目印があるはず)、どこで方向転換して帰ってきたのかよく分からない。
まったくもって、こんな大地では無力な都会人である。

ちなみにこのあたりの町であるヌラタは、ウズベキスタン共和国の中にあるカラカルパクスタン共和国の首都である。ウズベキスタンの中にもう1つ別の国が存在しているのである。このカラカルパクスタン共和国はウズベキスタンが統治している形になるため、入国する際にもパスポートやビザを新たに提示する必要はない。

その後、夕食の時間となり、食堂で食べていると空が赤くにじんできた。
外に出て空を見てみると、なんときれいな夕焼けよ!
一旦食事を切り上げ、やたらと写真を撮り始めた。

よく見ると、なぜか我々の泊まるユルタの周りにはラクダやら馬やらが大量にのさばっていて、草を食べたりまどろんだりしている。一体誰が解き放ったのだ?!

写真を撮っているうちにトップリと日が暮れ、もう一度食堂に戻って夕食を終えると、タジキスタン民謡の弾き語りをやってくれるという。

ユルタがいくつか円形にならぶように立っているが、その真ん中で焚火を焚いてくれ、その横で三線のような弦楽器を持った男の人が弾きはじめた。
彼はこの近辺に住んでいる人らしく、昔から音楽が得意で、民謡を歌える人から伝授されたということらしい。

日が暮れると気温がグングン下がる。焚火がないと寒くてガタガタ震える。
しかし空気はものすごく透き通っており、星が夜空に広がってきた。
アジアを思わせるような、いや中東を思わせるような、しかも初めて聴くような音楽、言葉、節回しで歌われる。
その不思議な空間を味わいながら、しばし無言で歌に聴き入る。

横にいるフランス人3人のグループが、途中からベラベラしゃべり始めた。
空気が読めないのか、音楽に飽きたのか。。せっかくのこの空間、ベラベラしゃべって台無しにするにはもったいない。

歌が終わり、今日はお開きとなった。それぞれユルタへと戻る。

寝る前に、別棟として立っているシャワールームでシャワーを浴びようと思っていたのだが、この頃には凍てつくような寒さになっていた。とてもシャワーを浴びられるような気温ではない。寒すぎる。

冬物を持ってこなかった自分は、とりあえず持ってきたTシャツやフリースを6枚も重ね着し、なんとかしのいでいる状態だった。

ユルタに戻っても暖房器具などはない。隙間風も入る。
6枚着たまま毛布を何枚もかぶり、眠りについた。。

次回、「カラカルパクスタンのナン」に続く。。

プリンタ出力用画面 友達に伝える
前のページ
ウズベキスタン、再び?!
コンテンツのトップ 次のページ
カラカルパクスタンのナン