ウズベク人はオチャメ?


もう行くしかない。
事前に各都市で泊まるホテルも全部決め、ついでに向こうでの移動に使う電車や国内線の飛行機のチケットまで手配した。
日本でできることはすべてやった。行かなくても全額引き落とされる。もう行くしかない。

いつもは早朝に家を出ることが多いが、今回はお昼頃のフライト。遅めに家を出る。
いつもはTシャツをスーツケースに詰めて行くだけだが、今回は長袖にフリースにモモヒキにニット帽。
いつもは空港で上着を脱いでスーツケースに入れてチェックインするが、今回は着たまま飛行機に乗り込む。

とにかく、いつもはまったく不安などない様子のヨメさんでさえ、今回は不安を隠しきれないようだ。

まずは韓国の仁川まで飛ぶ。
仁川空港はきれい、でかい、すてき。さすが、これこそアジアのハブ空港。成田や羽田がハブになるためには相当がんばらねば。

アシアナ航空で韓国に行くのだから、乗客は当然韓国人が多い。とにかく今回ビックリしたのは、韓国の人たちのマナーがすこぶる良くなっていることだ。
もう10何年も前の話になるが、大韓航空に乗ってソウルに降り立ったときは韓国人のマナーの悪さに驚いた。
それが今やすっかり変わっている。
国の発展と精神の成熟。これこそ先進国としての条件だと思い知らされた。

そうこうしているうちにタシケントへの乗り継ぎ時間になった。
搭乗口で待っていると、周りが一気にウズベク色に染まっていく。それまでの平べったい顔から、彫りの深い、いかにも東洋と西洋が混ざりました的なフェイスをした人々であふれかえってくる。
なにやら聞いたことのない言葉の音。男性陣はみんな大きく、力強そうな体型。全員がレスリングか柔道の選手のように見える。あの霊長類最強といわれたロシアのレスリング選手、アレクサンドル・カレリンみたいな男がゴロゴロいる。

いくつか覚えただけのウズベク語と、ちょっぴり鍛えただけのこの体で太刀打ちできるのだろうか? まるで、ハルク・ホーガンにパンチだけで立ち向かうロッキー・バルボアのようである(『ロッキー3』の名シーンより)。

そして飛行機に乗り込むと、通路のあちこちで立って話し込んでいるウズベク人がいる。仲間同士で話すのが好きなのか、客室乗務員が促してもなかなか座ろうとしない。出発時間を過ぎても悠々と乗り込んでくる彫りの深い人たち。離陸時間を過ぎても飛行機はピクリとも動けない。
あちこちで「水をくれ」と要求しているウズベク人の乗客。よっぽどみんなのどが渇いているのだろうか。乗務員がその対応に追われている。

韓国人スチュワーデスの中に一人、どうもロシア人ぽいスチュワーデスがいた。なにやらウズベク人たちに聞いて回り、一人ひとりの座席の上にシールを貼っている。よくは分からないが、おそらくは宗教上の理由か何かで、何かの肉を食べる食べないなどを確認しているようである。

ようやく乗客が落ち着いて、やっとの思いで飛行機がゴロゴロと動きだした。ここからウズベキスタンの首都タシケントまで7時間以上かかる。ラッキーなことに各席にはパーソナルテレビがついている。映画でも見て、あとは寝てればなんとかなるか。

ある意味とってもオチャメなウズベク人たちを見ながら、今回のウズベキスタンの旅が一体どうなるのか思いをめぐらしていた。定刻から1時間も過ぎて、ようやく飛行機はタシケントに向けて離陸した。

次回、「ダンボール箱の行進」に続く・・・。
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ダンボール箱の行進