高雄の観光地めぐり


高雄には風光明媚な蓮池譚という池があるのだが、そこにいかにも中国的な極彩色の塔が2つ建っている。1つの塔の入り口は龍が口を、もう1つの塔は虎が口を大きく開けた形になっており、この龍の口から入って2塔を回り、最後に虎の口から出てくるのが正しいルートらしい。そうすることで自らを清め、災いがなくなるとされているという。

Uberで到着すると、とにかく塔の見た目が面白いのでテンションが上がった。ガイドブックに書かれてある通り、龍の口から入って塔の階段を上ると、遠くまで広がる池を見ることができた。高雄の街のごちゃごちゃ感から急に広々とした空間。高雄にこういう景色もあるのかと、しばらくボーっと見ていた。

周りを見渡すと、どうやらこの池には他にも神様のような形をした大きな建造物がいくつか建っているようだ。いかにも中国的な神様たち。岸から池の中に向かって伸びている橋を歩けばそれらの神様のところまで行けるようである。なんとも不思議な、日本では見ることがない異空間である。

虎の口から出て行こうとすると、寄付金を入れる箱があり(入場料は無料)、そこにお金を入れたら、横に座っていた人が龍虎塔の絵葉書をくれた。

その龍虎塔から道を挟んで反対側には廟があった。廟とは、神様や地元の偉人が祀ってあるお寺のような場所であり、地域の人々がお祈りを捧げたり、なんとなくゆったりと過ごすことができる場所である。その中の構造や装飾はかなり手間とお金がかかっているようであり、静かな中にも少し張り詰めたような空気が漂っていて、思わず清らかな気持ちになる。

高雄に限らず、台湾はどこの地域に行ってもこのような廟があり、ごちゃごちゃとした街中に急に現れたりする。廟を訪れると、台湾の人々の信仰心の篤さを見ることができる。このような廟が台湾の人々の心のよりどころとなっているようである。

この辺りをひとしきり歩いて堪能した後、ホテルに帰り、日暮れとともに夜市に行ってみた。台湾には、夜になると食べ物や雑貨を売る出店が軒を連ねるエリアがある。ホテルから歩いて行ける六合夜市に行ってみることにした。

夜7時頃に行ったのだが、もうかなりの人でごった返していた。観光客も地元の人もいるようだ。

海老や牡蠣、魚が並んでいる屋台がある。看板には「海鮮料理」と書いてある。海鮮の具材を調理した料理を作ってくれるらしい。それから「西瓜汁」、「木瓜牛奶」と書かれた店がある。それぞれ「スイカジュース」、「パパイヤジュース」のことである。そして、豚の内臓が分けて置いてある店がある。沖縄には「中味汁」といって、豚のモツ(特に腸や胃)を入れた汁物があるが、おそらくそれに似たようなものを作ってくれるのだろう。さらに、とにかくにクサい匂いのする「臭豆腐」が売られている。そばを通るだけでもなかなかのにおい。これは一度、台北に行ったときに夜市で食べたことがある。自分はなんとか食べきることができたが、納豆のさらにクサイ版と言うべきか、おそらく日本人にとってはウマイと感じられるものではないと思われる。興味のある方はぜひ挑戦してみてください。

結局、マトン(羊肉)の入ったスープと、牡蠣と卵が衣に入れられてこんがり揚げられた真ん丸の揚げ物(?)を食べることにした。この揚げ物、驚くほどおいしかった!お店に「蚵仔包」と書いてあったので、これがこの食べ物の名前だと思われる。六合夜市に行ったらぜひ探してみてください。

実はこの食べ物を買おうと思って行列に並んでいたときに、こちらをチラチラ見てくるおじさんがいた。中国語をしゃべれずたどたどと注文している自分たちを見て、「日本人?」と話しかけてくれた。そのおじさん、どうやら日本語も英語もわからないらしく、こちらは中国語も台湾語も分からないため、雰囲気と簡単な英単語だけでやりとりしていたのだが、とにかく「ジャパン、タイワン、フレンドシップ、フレンドシップ!」とニコニコと話してくれる。そして、どうやらここは俺がおごる!と言ってくれているらしく、自分たちの支払いを代わりに払ってくれようとするのである!日本人に激しく好感を持っているようだ。

いやいや、それは申し訳ないからいいですよ!と言っても、「フレンドシップ!フレンドシップ!」と押し切られ、結局、そのおじさんが代金を払ってくれた。するとその奥さんらしき人がやってきて、どうやら「すみません、うちの主人が、どうにもこんな感じで」と謝っているようである。こちらは日本語で「ありがとう、ありがとう」とひたすら感謝。最終的に写真を撮って別れたのだが、台湾の親日ぶりを強烈に感じる出来事だった。

他にも、台湾旅行中はいろいろなお店で代金をまけてくれたり、おまけをつけてくれたりといった幸運に恵まれた。あるホテル内のお店でエッグタルトを購入したときも1個余分に入れてくれたりした。もちろんそうじゃないお店もあるのだが、他の国ではあまりそういったことに巡り合うことはない。

台湾は日本人にとって、近くて、優しくて、おいしいのである。

いよいよ明日は沖縄に帰る。ホテルに戻り、パッキングを済ませて眠りについた。