粵劇って長いのね


Uberに乗って粵劇(「ユッケッ」と発音。香港版の京劇のこと)の学校に着いた。ここには高山劇場という名の劇場があり、粵劇の展示もあるという。

特に具体的な目的があったわけではないが、この粵劇の展示が見られたらいいかなと思いながら敷地内を歩いていると、その展示の場所がよくわからない。ウロウロしていると、どうやら展示をやっているらしい場所に着いた。しかし、、、残念ながら今日は休館日、閉まっていて中に入れない。

ここまで来て唯一の目的が果たせないとは。。仕方ないのでなんとなく劇場のほうに歩いていくと、ドアが開いていて中に入れる。すると、入ったところで何やらチラシとチケットらしきものを準備している人がいた。劇場入口を見ると、ときどきこの劇場で粵劇を上演しているらしいことを示すポスターが貼ってある。

おそるおそる、そのチケットらしきものを準備している人に聞いてみると、今日この後、この劇場で粵劇を上演するらしい。え?見られるの?すると、チケットをひょいと渡された。「今日のチケット?いくら?」と聞くと、「Free」(無料)とのこと。

おぉ!ここまで来た甲斐があった!粵劇を無料で見られるなんて!
大喜びでチケットをいただき、上演まで1時間ほどぶらぶらして待つことにした。

上演時間が近づいてくると、劇場のロビー周辺が大量の中高年の人たちでざわざわしてきた。やはりこのような伝統芸能を楽しむのは、どこの国も中高年の人が多いようである。

いよいよ開場、なんと自分たちの座席は前から二番目の列!劇場に入ろうとすると、チケットを取れなかった人たちが、入っていく人に一生懸命「チケットは余ってないか、譲ってくれないか」と懇願している(おそらくそういうことを言っている模様)。自分たちにも近づいてきて懇願してきたが、すみません、日本人です、分かりません、などと言いながら、少し右端のほうではあるが前から二番目の列の座席に座った。

この劇場ではセリフの字幕が表示される。字幕は中国語だが、漢字なので意味は何となく理解できる。しかも事前に今日の演目「柳毅伝」の内容をネットで調べ、あらすじを理解しておいたので準備は万端である。

開演されると、まずはどうやらこの学校の功労者らしき人がずらりと並び、あいさつなどを述べている。どうも今回の公演は何かの記念的な公演らしい。それで無料なのか?(よく分かっていない)。

ようやく長々とした挨拶が終わり、粵劇が始まった。京劇と同じように、独特のセリフ回しと歌、柔らかな動きで展開されていく。そしてアクロバティックなシーンもある。字幕も漢字だらけだが意味も分かるし、楽しく見ていた。

だが、、、1つ1つのシーンが結構長く、19時に開演だったのだが、途中で時計を見るともう21時。もうこのぐらいの時間には終わってホテルに帰っているという想定だったが、まだ中盤のようである。なぜなら途中の休憩に入ったところだから。。

実はこの日は2019年4月30日、つまり平成最後の日であり、夜中12時(つまり香港時間では夜11時)を過ぎれば令和になるのである。

だから21時(日本時間では22時)頃にはホテルに帰って、NHKワールドでも見ながら改元の瞬間を過ごす予定だったのだが、22時になっても終わらない。

ついに香港時間23時、つまり日本時間の午前0時が迫ってきた!しかし粵劇はまだ終わらない!もちろん見ていて楽しいのだが、さすがに4時間はしんどい!

粵劇を見ている途中に令和になってしまった。なんとなくその瞬間に手を合わせてしまったのだが、結局終了したのは23時半、そこからUberを呼んでホテルまで帰ったのだが、今からNHKワールドを見ても仕方ないし、それより何より晩ごはんを食べていない。

結局ホテル周辺をウロウロしながら、夜中でも空いている小さなレストランに入った。この時間でもけっこうお店が開いている。素朴なワンタンメンを食べたが、これがまたおいしかった。

遅くなりついでというわけではないが、晩ごはんを食べた後、若い人たち(大学生?)がごった返しているスイーツの店があったので自分たちも並んでみることにした。少し待ってから入り、頼んだマンゴー&アイスのおいしかったこと!夜中の12時を過ぎても、若者たちが楽しそうにワイワイと話している。店から外を見ても、たくさんの人が道端で話している。

安全やなー、そしてスイーツもそんなに安くないのに、みんな案外金持ちやなー、などと、香港の豊かさを感じながらホテルへと戻った。

令和おめでとう、と香港から日本に思いを馳せながら眠りについた。
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