2. 気がつけば両手に絵画


そこからは張り切って雑貨店まわり。もういきなりのお土産探しである。
いろんな店があり、同じものを売っていたりもするが、バラエティ豊富で見ているだけでも飽きない。気がつくと6時半、陽もとっぷり暮れてしまっていた。

初日は水上人形劇とやらを見に行く予定にしていた。しかし、もうこの時間では開演に間に合わなくなっていた。
ということで急遽、民族音楽を聞かせたりアオザイファッションショーをやったりするお店に行くことにした。

急遽、とは言ったが、実はこのお店に行くためにベトナムを先回りにしたのである。カンボジアを後にした。
つまり週末のこの日と次の日にしか、この店はオープンしないらしいという情報を日本で得ていたのである。

早くも夕食をたいらげ、タクシーを拾って店に向かった。
すると・・・、そのお店の近くに来ると、タクシーの運転手が指差して何やら「ノー、ノー」とか言い出す。料金を払って降りようとしていたので、ひょっとして金が足りないとか言ってるのかおい、と思ったが、彼の指差すほうを見てみると、お店の入口が真っ暗になっている。どうも中は何もないようだ。

え? 店じまい? つぶれた? え〜!?

とあるムック本に書いてあった情報を見てどうしても来ようと思っていたお店。どうやら閉店しているようである。ほんの二、三ヶ月前に日本で発行された旅行本なのに・・・。

(実はこの後、日本に帰ってすぐに、東京の代々木公園でベトナムフェスティバルなるものが開催されたのだが、見に行ってみると、途中ステージ上でアオザイファッションショーが開催された。司会者がベトナム語で紹介したのだが、その時、この閉店していたお店の名前を言っていたような気がする。ということはあの店、つぶれたのではなく、ただ単に改装中だったのかもしれない。改装中にスタッフ総出で東京のフェスティバルに参加しに来たような感じであった。)

結局そのまま、同じタクシーでホテルまで帰ってきた。
まだこれから楽しもうと思っていた気持ちのおさまりがつかない。もう夜だったが人通りも多いので、とりあえず近辺をほっつき歩いてみることにした。

店はチラホラと閉まり始めているが、開いている店の中に、絵を売っている所が一つあった。なんとなく入ってみると、なかなか目を奪われるような良い絵が並んでいる。

小さい絵を2つほど買うことにして、包んでもらっている間に大きい絵をいろいろと見てみた。おおすばらしい! きれいだ! 買いたい絵が山ほどあるぞ!
いや、しかしこんな大きな絵を持って帰るのは・・・。え? 丸めて持って帰ればいい? ま、そりゃそうだ。でも木の「額」に打ち付けてあるじゃないか。え? 木はバラバラにできる、これも持って帰って家で組み立てればいい? な、なるほど、そうね。木の「額」も込みで安くするよ。今すぐ解体するからね。あ、そうなの。まいったどうにもこうにも欲しい絵がある。

おそらくモチーフとしては、ベトナムではよくある題材&構図なのかもしれない。真っ赤に萌えている木の横に白のアオザイを来た人たちがいる村の風景。

んー、値段も手頃だし、こいつは買いか? と悩んでいると、閉店時間の9時を迎えた。すると店員、「まだいいよ。もう少し悩んで決めてくれたらいいから」と、なかなか感じのいい対応。
それに押されたかどうかよく分からないが、結局この大きな絵も買ってしまった。

民族音楽を聴くつもりが、気がつけば両手に絵画。
初日から持ち歩く荷物が増えてしまったが、なかなか満足のいく買い物であった・・・。

ホテルに戻って明日の計画を立てる。昼は街を散策して、夜は今日行けなかった水上人形劇を見に行こう、ということになった。

そんなに疲れているつもりはなかったが、すぐにドップリ寝入ってしまった。

次回に続く・・・。
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