5. 伝統! 復活!! 発展!!!


遺跡群を見た後、夜にはシェムリアップの町をほっつき歩いてクメール料理を楽しんだ。
クメール料理って何やねん? と思うかもしれないが、要はカンボジアの地元の料理。ここで取れた食材にスパイスなどをかけていただくというだけのもの。タイ料理ほどのクセはなく、かなりおいしく食べられる。

このシェムリアップの町、特に私達が泊まったホテルの近くにあるオールドバザール周辺は、何やら広大な映画のセットのような雰囲気をかもしだしている。アンコールワットのおかげで観光客が集まり、どうもそのためにできたようなレストランやマッサージ店が立ち並び、急ごしらえのような町並みなのである。正直カンボジアにいるという気はしない。無国籍というか多国籍というか、アジア貧乏旅行の経験者なら誰もが知っているあのバンコクにある安宿街、カオサン通りに似ている感じである。あれをもう少し広くきれいにした感じと言えばいいだろうか。好きな人はどっぷりとはまれるかもしれないが。

このシェムリアップでは、スパエクと呼ばれる影絵、それからアプサラダンスと呼ばれる伝統舞踊も見た。

カンボジアは案外、といってはなんだが、ベトナムと比べるとなかなかエンターテイメントを楽しめる場が多いようだ。テレビもいろんなチャンネルがある(一般の家は違うかもしれない。ホテルだと衛星放送も写るため、かなりの数のチャンネルがある)。カンボジア人(らしき)のパフォーマンスグループが、どこぞの劇場の舞台でダンスを踊っているのを流しているチャンネルもある。古さを感じるようなものではなく、どちらかというと前衛的な舞台だ。こんなのもちゃんとカンボジアにはあるのか(多分カンボジア人?)、と思いながら見ていた。

そしてこのスパエク、そしてアプサラダンスと呼ばれる芸能は、あの悪名高きポルポト派による内戦のせいで伝統が途絶えかけていたものである。それを後になってなんとか復活させ、自国が誇る文化としてこれからもっと発展させていこうとしているのである。カンボジアではほぼ全日、ツアーに参加していたのだが、この2つはぜひ見てみたいと思い、それ用のツアーを予約していた。

影絵は子供たちが楽しみながらやっており、お世辞にもそれだけでお金をとれるとは思えなかったが、食事しながらということもありお客さんもわりと自由に動ける感じだったので、私は勝手に影絵の舞台裏に回って子供達の人形操作とその笑顔を堪能させてもらった。子供達が人形を操作し、セリフをしゃべりながらストーリーを進めていく。それに合わせて音楽を奏でるのは大人たちであった。

そして、別のところで見た舞踊はそれなりのレベルの高さを感じた。形も独特のものがあるようで、タイやインドなどとも一味違う。題材はやはり、生活から着想を得たものや恋物語が多いようだ。音楽はどちらかというとインドネシアやマレーシアに近い感じ。若者たちが真剣に取り組んでいるようで、非常に好感が持てる。ゆっくり動くものは熟練が必要だろう。今後はさらに研究や洗練がなされ、すばらしい伝統芸能として完全復活すると思われる。

カンボジアは日本と違って子供や若者が多い。努力と支援次第では、ベトナムのような新興国になれるのではないかと、勝手に期待している。

「新興国になれるのでは」と書いた。カンボジアは間違いなく発展途上国である。どこかの国の支援を受けて建てているという学校や病院をたくさん見た。そういう場所は、見えるところに必ず支援国の国旗が書いてあるから分かるのである。日本の国旗もあった。とにかくカンボジアは貧困を表すどんな数値においても、アジアで最低のレベルにある。

これと関連しているかはよく分からないのだが、シェムリアップの観光地で群がってくる物売りの子供について最後に書いてみたい。
それでは次回・・・。
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