4. のってる!


のってる! とんでる!
はい、そうなんです。
自分たちでとったタイ国際航空のフライト、エコノミークラスの座席に今我々は乗っております!

あやうかった。もうダメかと思った。
キャンセルだけはなんとか免れた。
どうにかこうにか熱は下がり、おかゆだけは食べられるようになった。
当日は朝早いフライトのため、成田空港の近くのホテルに前泊。

そして当日、ちょっぴりゴロゴロするお腹ではあったが、なんとか搭乗したのである。
機内食は半分しか食べられないものの、危機的状況は脱している。
本当に良かった。お腹がゴロゴロするぐらいなら、向こうの空港で入国を拒否されることはないだろう。
最近はどの空港もサーモグラフィとやらを導入していて、熱があるとバレてしまい、隔離され入国を拒否されるのだ。
熱は間違いなく下がっている。黙っていれば、お腹の具合までは分かるまい。

成田から7時間、そろそろ居眠りにも飽きた頃、バンコクに新しくできたやたらとデカい空港に着陸した。
久しぶりに訪れたバンコク(今回は空港だけ)。
軽食を食べた空港のレストランでは、10年以上も前に目の当たりにした、あのタイ人たちのけだるさを久々に目撃した。
なんであんなにけだるいの? 暑いからか?

そして現地時間の夜6時40分、定刻どおりヤンゴンに着いた。

入国検査へと空港内を歩いていると、「サーモグラフィで検査します。こちらをお通りください」との貼り紙がある。
おお! いよいよ審判のとき! ひっかかったらサヨウナラ!
なぜか息を止める。係官のほうをチラ見。
・・・何も言われなかった。どうやら合格のようだ!
無事入国できた。

空港にはペリカンツアーのミャンマー人ガイドが迎えに来てくれている。
日本語を流暢に話す、サインさんという30歳ぐらいの男性だ。
ホテルまでは車で約20分。窓から見える景色は、やはり熱帯アジアの風景。
しかしベトナムともマレーシアとも違う。だってここはミャンマーだもの。

この日は、あのチャットしたことのあるミャンマー人女性、Nさんと会う約束をしていた。
お腹の調子が悪いため、油の多いミャンマー料理のお店はキャンセルしてもらい、中華料理にでも行こうということになっていた。
実はこのNさん、つい2週間ほど前にヤンゴンで結婚式を挙げたばかりなのだ。
相手はなんと、関西に住む日本人男性。
日本で働いていたこともあるというNさんは、日本語がペラペラである。メールの文面だけ見ていると日本人と区別がつかない。ミャンマーでは日本語の人気が高く、このヤンゴンにも日本語教室がある。ゆえに彼女は、ミャンマー語、英語、日本語を操る才媛なのである。

ホテルに着く頃、サインさんがミャンマーの豆知識として、曜日と人名の関係について教えてくれた。ミャンマーでは曜日によって神様が違うため、生まれた日が何曜日であるかが非常に重要である。そして、つけられる名前も曜日に由来するものが多いという。つまり、ミャンマー人の名前を聞けば、その人の生まれた曜日が分かるというのである。
そこで、Nさんは何曜日なんだろうと思い、このミャンマー人のガイド、サインさんにN さんの名前を言ってみた。
するとサインさん、意外な言葉を返してきた。

「その人は、・・・最近結婚した人ですか?」
「え? (名前で分かるの?)」
「フルネームは、N・N・Aさんですよね?」
「えぇ?! (霊媒師かなんかか?)」
「・・・その人、ワタシの知りあいです」
「はぃぃ? (そういうことかい!)」

世の中せまい、せますぎる。いや、ヤンゴンが狭いのか?
何かのツアーのときに一緒に仕事をしたらしい。ちなみにNさんも日本語ツアーガイドである。

「今日会うんですか? じゃあワタシが電話しますよ」と言うサインさん。
「あれ、そうですか? 自分の携帯で電話しようと思ったんですけど、ここでは日本の携帯は使えないんですね」
「そうです。ミャンマーでは使えません。ワタシが電話します」

というわけで、ホテルに到着後、彼がNさんに電話してくれたのである。
15分ほど部屋で待っていると、部屋の電話がなった。
「Hello・・・」とこちらがぎこちなく出ると、「Hi, this is N, now I’m in the lobby…」などと、やたらときれいな英語が返ってきた。Nさん、我らがホテルのロビーにご到着である。
早速準備し、ヨメさんとロビーへ降りていった。

次回、「ミャンマー人ってみんなこうなのか?」に続く・・・
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ミャンマー人ってみんなこうなのか?