5. ミャンマー人ってみんなこうなのか?


ロビーに下りると、そこにNさんが座って待っていた。
3人して「はじめましてぇ!」と日本語でごあいさつ。
チャットはしたことがあるものの、会うのはもちろん初めてだ。

思ったよりも背が低いNさん。何やらお友達も連れてきたようである。
「ワタシのいとこです・・・」
そういって紹介してくれた従姉妹の女の子は、見たところ中学生ぐらい。
しかし聞いてみると、実は大学生の18歳だという。失礼しました。
もう夜の8時半を過ぎていたため、女性の一人歩きは危ないということで、お父さんに2人で行くようにと言われたそうである。

ホテルから歩いてすぐの、ちょっぴり高級な中華料理店に入った。
生きた魚をその場で調理してくれるという。泳いでいる魚をいろいろと見せられたが、よく分からない。
店員との間に入ってNさんが通訳してくれる。結局、エビを調理してもらうことにした。
その他には空心菜の炒め物や、レンコンのサラダなど、野菜中心に注文。お腹の調子を考えて、おかゆ。

どれもやたらとおいしかった。
Nさん&従姉妹さんはというと、晩御飯はもう済ませてきたし、夜遅いからすぐ帰るということでドリンクだけ注文。
食事はこちらがおごるから、と事前に伝えていたにも関わらず、なんとも控えめな日本人のような奥ゆかしさである。

話をしていると、なんとNさん、再来月からだんなさんと一緒に日本に住むことになったという。
実はNさんのお姉さんも結婚して海外に住んでおり、彼女はぜひ両親の近くに住み続けたいと考えていたそうだが、縁というものはどこでどうなるか分からない。思い切って決断したそうだ。

そうそう、忘れる前に、ということで、結婚祝いとして持ってきたプレゼントを渡した。結婚式の写真でも飾ってもらえればということで、ミキモト薫製の真珠つき写真立てである。
するとNさん、「ワタシからも・・・」ということで、なんとミャンマー人なら男女問わず誰もが着ている「ロンジー」というきれいな巻きスカートと、シャツをくれた。
見てみると、これまた高級な感じ。
なんという気遣い。申し訳ない。恐縮です。

この後も、何やら薬味のようなものが出てくると、ささっと取り分けて「これにかけるんですよ」と教えてくれたり、
ミャンマーの見所をちょこっと教えてくれたり、こちらのお腹の調子を心配してくれたりと、なんという細やかな気遣い。そして、「帰り道は大丈夫ですか?」と確認をとって、「じゃあそろそろ・・・」とお暇のセリフ・・・。
ミャンマー人はいい人ばかりだという噂は聞いていたが、ほんとにみんなこうなのか? 日本で一年働いていたからといって、それだけでこうはなるまい。

別れ際にみんなで写真を撮った。
ヨメさんと両手で握手しながら、「日本に行ったら、いろいろと教えてくださいね」と言うNさん。
ミャンマー人はみんなこうなのか?

彼らが帰った後、我々2人は出された料理をひたすら「うまい、うまい」と食べ続けた。
あれだけ調子の悪かった胃腸のことも全く気にならず、気がついたらすべて平らげ、超満腹。
間違いなく、完全に復活した。
「まさか、こっちのほうが水が合うなんてこと、ないわなぁ?」などと、勘違いにもほどがある発言を繰り返しながら、ホテルの部屋へと帰っていった。

普通に考えれば、ちょこっとネットでチャットしたぐらいの人に会って、こういう展開にはならないだろう。
しかもレストランを予約するなんて言われたら、日本人のお金を目当てに何やら良からぬ企みでも持ちかけられそうなもんである。

全くそんなことはなかった。これがミャンマー人なのか、それとも彼女だからなのか・・・。
「今までのアジア旅行とは何かが違うな・・・」などと考えながら風呂に入っていると、不意にすべての電気が消え、真っ暗になった。
ミャンマー名物、「停電」だった。

次回、「パゴダときどきマリオネット」に続く・・・。
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