沖縄の気になる車社会


沖縄は車社会である。
沖縄本島にはモノレールがあるが、現在は空港から首里までの那覇市内のみで、他に電車はない。そのため特に平日の帰宅時間となる夕方は道路が大混雑して大変である。

また、休みの日は駐車場がどこも満車で、「駐車場難民」と化した車がウロウロしていることがよくある。路駐も多くなってしまう。

車社会の沖縄では、どこかで大きなイベントが開催される場合、なるべく公共の乗り物(つまりバス)を使って来るようにと書いてはあるものの、ほぼすべての人が自家用車で来てしまう。そのため、イベント会場とは別の離れた場所に駐車場が用意してあることが多い。そして、その特設駐車場からイベント会場までマイクロバスがピストン送迎する、という具合である。

前にも書いたが、台風後は洗車場が行列になるのだが、実は台風前にも車が行列になるところがある。それはレンタルビデオ店である。台風時は泡盛でも飲みながらDVDを見る、というのが「沖縄あるある」だが、レンタルビデオ店にももちろんみんな車で行く。

車に関する「沖縄あるある」の中で沖縄の誰もがうなずくのが、「10分歩くなら車に乗る」だろう。近くのコンビニでさえ車で行く。
こちらに来て思うのだが、沖縄は暑い時期が長く、日差しがやたらと強いので外を歩く気が全くしない。そのため、ちょっとの距離でも車に乗ることが多くなるのではないかと思われる。

車とは少しずれるが、沖縄の人は自転車に乗らない。乗ったことがないから大人でも自転車に乗れない人が多い。これも暑い中、自転車なんかこいでいたら熱中症になるからというのが理由じゃないかと思われる。

また、狭い道も多いし、「そんなに急いでどこへ行く」という精神性もあるので、やたらと軽自動車が多い。燃費が悪くて小回りのきかない外車なんかに魅力を感じることは全くないのである。しかも、沖縄はどの島も離島扱いとなるため、故障した部品を取り寄せる必要がある場合は届くまでに余分に時間がかかってしまう。貴重な車であることに何も良いことはない。

車社会で歩かない、ということもあってか、今や沖縄の人の肥満率は非常に高く、県全体で「イチキロヘラス」(1キロ減らす)というキャンペーンが展開されている。みんな一人ひとりが心掛けて、体重を1キロ減らそうという運動である。昔は長寿県と言われた沖縄だが、今や平均寿命も女性は首位から陥落、男性に至っては47都道府県でも悪いほうに入っているという。食事が変わったことやお酒の飲みすぎも原因だが、ほとんど歩かないということも一因と思われる(お酒と言えば困ったことに、沖縄は飲酒運転の摘発数も全国ワーストである)。

自分は沖縄に引っ越そうと決めたころ、モノレール沿いに住めば車はいらないんじゃないかと思っていた。でもまぁあったほうがいいかな、と思いリース契約で車に乗っているのだが、今思えは、いくら那覇の都会とはいえ車がなければまともな生活なんかできなかっただろう。軽自動車にしたおかげで安価で済み、細い道でもスイスイ走っている。

今後は那覇から本島北部の名護まで鉄道を敷設するという計画もあるようだが、まだまだ沖縄の車社会は変わりそうもない。沖縄の人の運転マナーはわりと良く、旅行者のレンタカーや外国人が運転している車も多いため、ゆずり合いの精神で運転しているように感じる。それがこの沖縄の車社会の救いである。

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