沖縄の気になる方言


東北やその他の地方でもよくあることかもしれないが、その土地の人が、その土地の昔からの方言で話し始めると、外から来た人間には全く聞き取れない。しかし、日本の中でも沖縄方言(こちらでは「うちなーぐち」と言ったりもする)は特に理解不能かもしれない。

ユネスコでは沖縄の方言を、日本の方言ではなく独立した言語として認識しているぐらいである。

ただし、ちょっと調べてみると、まったく分からなかった言葉が実は日本語であることがわかったりする。

たとえば、「いーそーぐゎちでーびる」という言葉がある。
沖縄の言葉になじみがないと全くわからないが、これは標準語で言うと「明けましておめでとうございます」となる。

どういうことか? つまり「いー」=「良い」、「そーぐゎち」=「正月」、「でーびる」=「でございます」となり、直訳は「いい正月でございます」と言っているため、「明けましておめでとうございます」となるわけである。

これにならって、「にふぇーでーびる」を見てみると、「にふぇー」=「二拝」、「でーびる」=「ございます」となり、「二回拝みます」と言っているため、「ありがとうございます」となる。そう言われると、意味としては分からなくはない。

また、語句もそうだが特に発音に関して日本の古語のものが残っていたりする。

例えば、「はひふへほ」というのは日本語の進化の中でもわりと新しい音だという。つまり、昔は「パピプペポ」と発音しており、そこから「ファフィフフェフォ」に変わり、現在の「はひふへほ」になったという説が有力なのだが、その証拠というべきか、沖縄では、特に沖縄民謡で「花」を「パナ」と発音したり、「ファナ」ということがある。
また、ヤギのことを「ヒージャー」と言うのだが、沖縄の地方によっては「ピージャー」と言ったりする。「ヒ」と「ピ」が混ざっている。
沖縄に日本の古い発音が残っているのである。

ただ、一口で沖縄方言と言ってもいろいろある。沖縄本島、宮古島、石垣島では言葉が全く違っているし、本島内でも中南部と北部、もっと言うと、ある市町村と少し離れた市町村でも違っていたりする。

標準語「ありがとう」
沖縄本島「にふぇーでーびる」
宮古「たんでぃがぁーたんでぃ」
石垣「にーふぁいゆー」
与那国「ふがらっさ」

また、先ほど「方言ではなく独立した言語」として扱われていると書いたが、ユネスコでは沖縄の言語を、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語の5つの独立言語としている。
そして、最初の3つは消滅の危機にある言語の「危険」レベル、あとの2つは消滅の危機にある言語の「重大な危険」レベルとしている。

「うちなーぐち」はすでに若者の間では、聞いて分かるけど話せない、または聞いても理解できないレベルになってきているため、それを食い止めるかのように、「うちなーぐち」を使いましょうというイベントや学習会なども行われていたりする。
(さらに悪いことに、方言はヤンキーが話す言葉という認識も広まっているため、若者の間でも「汚いから使ってはいけない」と思っている人もいるようである。)

方言は悪いものではない。自分が思う方言の良さの1つは、標準語では表しきれない微妙な感情を表す言葉があったりすることである。

沖縄の言葉に「わじわじする」というのがある。
これは標準語で言うと「イライラする」というのが近いようだが、沖縄の人にすると違うらしい。
「イライラ」は自分自身に向かっての感情であり、「わじわじ」は相手に対しての感情らしい。
また、気持ち的には、「わじわじ」はただイライラというよりは、もっとこう、「納得がいかない」というような感情も含まれているようである。
(ちなみにアクセントは「わ」ではなく「じ」のほうにあるらしい。こういう言葉を県外の人が使おうとしても発音が違っていて、沖縄の人ではないことがバレる。)

こういう微妙なニュアンスを含んだ言葉までなくなっていくのはもったいない。
どこの方言もそうかもしれないが、沖縄の言葉もなんとか残っていってほしいものである。
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