沖縄の気になるお墓とお祈り


本土と圧倒的に違うものに、お墓がある。沖縄のお墓の多くは、墓の手前部分に大きなスペースがある亀甲墓である(本土の四角柱の石のお墓は塔式墓と呼ばれる)。亀甲墓は中国の福州、広州あたりがルーツと考えられており、タイやマレーシア、インドネシアでも見られる形である。

沖縄には清明(沖縄の言葉で「シーミー」)という習慣がある。二十四節気の「清明」の時期(通常4月初頭頃)に親族が揃ってお墓参りをして、亀甲墓のスペースで、お供えとして持ってきた重箱のお弁当を食べたり、三線を弾いて歌いながら楽しんだりする。重箱には通常、かまぼこ、昆布、豚の三枚肉、揚げ豆腐、こんにゃくの煮付け、ごぼうの煮付け、田芋、カステラかまぼこ、白身魚の天ぷら、の合計9品目を入れる。それ以外のお供え物として、お餅、果物、お菓子、まんじゅうなどを持っていく。

車社会の沖縄では、このシーミーの時期、墓地周辺が渋滞するので、この時期の特に週末にどこかに遊びに行く際には墓地周辺を通らないようにしたりする。

この清明祭という習慣のおかげで、沖縄の人のお墓に対する感情は、本土の人とは微妙に異なっているらしい。ある統計では、お墓を怖い存在として認識している人の割合が、本土と比べて沖縄では低く、ご先祖様とつながるところという認識が高くなっているという。自分も個人的に、沖縄の人はご先祖や目上の人を敬う気持ちが大きいように感じる。ご先祖に対するお祈りも熱心に行うし、とても日本人らしい日本人という感じがする。

お祈りということでいうと、沖縄には今も御嶽(うたき)というのがあちこちに残っていて、頻繁にお祈りを捧げにやってくる人がいる。御嶽は森の中などにあることが多く、香炉を置く石などがあるだけで、自分たちのような本土の人間にとっては「ここがウタキです」と言われないと分からない(最近いろいろな場所、特に城跡をあちこち回っているうちに、おそらくここがウタキだろうというのが分かってきた。見てみると香炉を置くようなものがあるのでやっぱりそうか、という感じである)。自然の中に祈りの場所があるという、神道に近いような言わば原始的な信仰である

清明もそうだが、沖縄には旧暦での習慣が多く残っている。未だに旧正月や旧盆を祝ったりする。

また、こちらは還暦を祝うというよりは、カジマヤー(97歳)を盛大に祝う。97歳になると子供に戻ると言われていることから、やはり還暦の考え方に近いのではないかと思われる(ちなみにカジマヤーの前にトーカチといって88歳も祝うらしい)。

日本の地方にはそれぞれ独特の風習があるが、沖縄には特に独特なものが多い。傍から見ているだけだが、そんな沖縄の風習をいつまでも残しておいて欲しいと思う。

以上、お墓と祈りについてでした。
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