Drama (Part2)


前回に引き続き、「ドラマ」カテゴリーの2本を紹介する。

まずは「端役」。
時代劇役者を目指しているものの、セリフもない斬られ役しかまだ与えられていない駆け出しの俳優が主人公である。しかも、その与えられた役でさえ無難にこなせない。役をはずされ、お金もなく、しかし夢だけは捨てない彼を描いた、おかしくも悲しいストーリーである。
実はこれ、京都の東映撮影所(太秦)の大部屋俳優にして名斬られ役、福本清三さんが書いた『どこかで誰かが見ていてくれる』という本から着想を得たものである。10代の頃から60歳の定年まで、ひたすら脇役、斬られ役を演じ続けた方だ。しかし、どの時代劇を見ても斬られ役として出演しているベテラン俳優がいるということで注目され、噂が噂を呼び、晩年はファンがたくさんついて「福本先生」と呼ばれるようになり、なんと定年後にはトム・クルーズ主演の「ラストサムライ」に出演することになってしまうという、まさに自身の著書のタイトルを地で行く人生を歩んでおられる方である。

マイムを本格的に始めてすぐにアイデアはあったのだが、その時はどう表現していいか分からなかった。その後、2年たってようやく完成させ、上演することができた作品である。

つづいて、「月」。
これは自分の作品の中でほぼ唯一、ラブストーリーと言える作品だ。
ひょんな出会いから、楽しい日々…。しかし、見ている人は途中で気がつくかもしれないが、もうその彼女はいないのである。いつか彼女と見た「月」。それを見つめる彼の深い悲しみは、誰も知ることができない。

関西でコメディやコントをやってきた自分が、果たして人を泣かせることができるのか? …などと考えながら作った作品でもある。

次回は、Crazyなカテゴリーの作品を紹介する。