Laugh


Laugh
さて、今回は「笑い」の作品である。

実は「笑い」は難しい。「泣き」に関しては老若男女、国籍を問わずだいたい同じようなストーリーが通用するようだが、「笑い」に関しては人によってまったく違う。しかも、マイムではあまりヒネッたことはできない。わりとベタな感じでしか伝えることができない。

関西でコントをやっていたこともあり、マイムをやるなら笑いを追求しないで違うことを追求したい、と思っているところもあるのだが、とりあえずこのカテゴリーの作品を3本紹介しよう。

まずは、「ストライク!」。
ボーリングで友達はストライクを出すのだが、自分だけはなかなか出せない男が主人公である。軽い遊びとしてやっているのだがストライクを出す友達。一方、力が入ってしまってガーターを出す主人公の男。悔しい。そこで彼は秘密の特訓を始めるのだった…。
スポ根ものとはいえ、題材は地味な「ボーリング」。しかし、人が一生懸命になっているものなんて、他の人から見れば案外どうでもいいようなことだ。
この主人公は、人知れず筋トレしたり、走ってスタミナをつけたり、一人でボーリング場に通ってストライクを目指す。しかし、いつまでたってもなかなかうまくいかない。そんな折、また同じ友達とボーリングに行くことになった。さぁ、果たして結果やいかに??
全編の要所要所で「ロッキー」の音楽を使い、気楽に何も考えずに見てもらえる作品である。客席から思わず拍手がこぼれたこともあり、自分としてもやっていて楽しい作品だ。

つづいて、「不運な一日」。
営業職のサラリーマンが、あちこちでちょっとした不運に巻き込まれる。ラストに彼を襲うのは、まさにどうでもいいような不運だが、彼にとっては一大事である。
運の悪い日は、一日中ツイてないものである。自分で呼び寄せているのか、神様の気まぐれか。そんな時は不運を呪っても仕方がない。笑い飛ばして忘れましょう。
この作品を作ろうと思ったのは、別のものすごく深刻な作品を作ろうとしていたときだった。その作品づくりに行き詰ってしまい、どうにもこうにも疲れてしまった。とりあえずこれはやめて、なんかおもしろそうな題材でもないかな…、そう思ってまずオチがひらめき、そこに向かって作っていった作品である。

そして、「男の勝負」。
宝クジを1枚だけ買って当てようとした男。一枚だけで当てようなんて、これぞまさに男の勝負!? しかし本当の男の勝負は、当選番号を確認してからだった…。
これまた小さなことに全身全霊をかける男が主人公である。一体これのどこが男の勝負なのか?? というほどのことかもしれないが、しょうもないことに美学を見出すのも男の性かもしれない。要所要所で「太陽にほえろ」で使われている音楽が流れ、特に後半は暑苦しさが増す。一部の男性には熱狂的な支持を得た作品である。

次回は、 「Frightening」な作品を紹介する。