世界遺産の町を散策


次の日も町を散策してみることにした。

ラビハウズから少し離れたところには、カラーンモスクがある。
そこからさらに先に徒歩で15分ほど進むと、アクバル城がある。
このあたりまで来ると、昔ながらの遺跡や名所と近代的なビルなどが混在する都会の風景が広がっている。

このアクバル城の近くに、現地の人が利用する小さなレストランらしきものがあった。
呼び込みのおじさんがとても元気で、まったく分からない言語でおかまいなしに話しかけてくる。
ちょうどお腹もすいているし、おじさんの熱意に負けてお店に入ってみることにした。

この店もメニューは限られているようだった。
やはりオススメらしきラグマンを頼む。

食べてみると、・・・うまい! うますぎる!
お腹がすいていたせいもあるのかもしれないが、ここで食べたラグマンはこのウズベキスタン旅行でも最高の味だった。
衝撃が走るほどウマかった。入ってよかった。
こんな小さくて、どこのガイドブックにも載ってなさそうなお店で最高のラグマンが味わえる・・・。
入ってみないと分からない。
もちろん、失敗したり、食あたりになるかどうかも、入って食べてみないと分からないわけだが・・・。

この町では、日本語を勉強しているという女性二人組に声をかけられた。
ガイドをしようか(有料で)と言われたので、ここでも一生懸命話して断ったのだが、彼女たちはよくラビハウズのあたりで友達と集まってしゃべっているらしく、夜になってほとんどのお店が閉まり夕食を食べる場所がないとウロウロしているときに彼女らとバッタリ出会い、開いているお店を教えてくれたりした。

最初に会ったときは「なぜガイドを断るの?」としつこく迫られて少し嫌な気分になったが、それもなかなか仕事がなくあまり裕福ではない生活をしているからだろう。ちょっとでもお金を稼ぐために、知っている日本語と英語(日本語力は乏しかったが英語はかなり流暢だった)でなんとかガイドをしようという意気込みが痛いほど伝わってきた。
しかしこちらも、もしガイドを頼むなら事前にプロの人に頼んでおくし、最初からこの町は自分たちだけで歩いて回るつもりだった。日数も限られているし、自由に回りたかったのだ。ここでガイドを頼めばムダなお金と時間を費やしてしまうかもしれない。もちろんこれも、ムダになるかどうかは頼んでみないと分からないのだが・・・。

またラビハウズのあたりに戻ってきてウロウロしていると、何やらパペットの製作小屋らしい家があった。
今は観光シーズンではないため、パペット劇場での催しはない。
出し物が見られないなら製作現場だけでも見てみようかと、ドアを開けて入ってみた。

中には作りかけのパペットの顔や服などが並べてあった。ショーケースには「アリババと40人の盗賊」を上演するためのパペットたちがきれいに並べられてある。日本人にとっては、アラビアンというかシルクロードっぽいイメージというか、なんとも異国情緒の豊かな色とデザインの服を着ているパペットたち。

奥まで進むと、おじさんが実際にそこでパペットを製作していた。
パペットの写真を撮っていると、おじさんがそのパペットをうれしそうに取り、音楽を鳴らして実際に動かしてみせてくれた。
音楽に合わせてダンスを踊るパペット。その素朴な動きに思わず笑いがこぼれてしまう。
パペットショーを見られないのがとても残念である。
おじさんに礼を言い、小屋をあとにした。

ブハラの町の人たちは、サマルカンドに比べて少し観光客慣れしている感はあるものの、やはり素朴で優しい人たちばかりだった。治安もよく、暗くなってから外を歩いていても危険を感じることはない。
観光シーズンではなかったせいかもしれないが、浮ついた感じもなく、物売りに声をかけられて面倒ということもない。

次は観光シーズンの夏にでも来てみようかな、あ、でも真夏は40度越えて死ぬほど暑いらしいし、どうしようかな、などと夢想しながら、すっかり気に入った素敵なホテルのベッドで眠りについた。

次回、「タシケントはやっぱり都会」に続く・・・。
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