ガキ大将か!


ヒバへの寝台列車に乗るのは真夜中だった。

ウズベキスタンでは電車に乗る前も、飛行機に乗るのと同じような荷物のX線チェックや身体チェックがある。駅でその荷物チェックにひっかかってしまった。「カバンの中に液体があるな? 見せろ」と言われてしまったのである。
体調を崩したときのために備えて、胃腸薬や頭痛薬、粉末のポカリスエットとともに、小さなスタミナドリンクを入れていたのだが、どうもそれが問題らしい。

カバンから出すと「これはなんだ」と言われ、英語で説明するもののどうも伝わらない。あげくには「元気になるドリンクだ」などと言ってしまい、興奮剤か麻薬のようなイメージを持たれてしまった。仕方なくフタをあけて渡すと、「なるほど、レッドブルだな」と言われた。そう、ジャパニーズレッドブル! などと言うと、検査官のうちの一人が「飲んでいいか」と聞いてくる。この際しかたない、どうぞと言って渡すと「まずいなこりゃ!」と言われて突き返された。

なんじゃそりゃ!お前はガキ大将か!オレのものはオレのもの、お前のものもオレのものか!これが役人の横暴ってやつか! お前が口つけたの返されても飲めるわけないじゃないか!

元社会主義国の役人、ということを考えると、まぁこんなもんかなと思えてくる。特にワイロを要求するでもないから、かわいいもんか。。

予定より少し遅れて列車が到着し、該当の4人一組のコンパートメントに乗り込むと、ウズベク人のおじさん2人が先客としてすでに入っていた。自分たちのスーツケースを、二段ベッドの下にある荷物入れに入れようとすると、スーツケースが大きくて入らない。列車のスタッフが数人来て押し込もうとするが、無理なものは無理。見ると二段ベッドの上のほうに隙間がある。持ち上げてみんなでここに押し込んだ。夜中にバタバタ失礼いたしました。

ここからヒバの手前にあるウルゲンチという町まで、14時間の列車旅となる。自分は二段ベッドの下、ヨメさんは上に寝た。

しめきった蒸し暑いコンパートメント。列車はけっこう揺れる。駅に止まるたびにうっすらと目が覚める。動き出すとまた眠りに落ちた。

朝になって日が昇ると、どうにもこうにも熱くて寝られない。のそっと起き上がると、向かいの二段ベッドの下のベッドに、昨日からいたおじさんと、なぜかおばさんが座ってしゃべっていた。2人いたおじさんのうち1人はとなりのコンパートメンドだったらしい。朝になってとなりからこのおじさんや小さい子供やらが乱入してきて大騒ぎだったが、どうやら家族総出でタシケントにでも行って(誰かの結婚式?)、ヒバに戻るところだったらしい。

簡単なロシア語でコミュニケーションをとったり、写真を撮ったりさせてもらい、あげくにはおじさんが持ってきていたナンやチャイまでごちそうになりながら、予定より少し遅れてウルゲンチに着いた。

次回、「映画のセット?!」に続く。。
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