映画のセット?!


お昼前にウルゲンチ駅に着いた。ここからヒヴァのイチャンカラまではタクシーで40分ほどかかる。

群がってくるタクシーの運転手たちと料金を交渉し、こんなもんかな、というお値段に落ち着いた運転手を選ぶ。

ちなみに「イチャンカラ」とは、日本語で「域内」を意味する。ヒヴァには城壁で囲まれたエリアがあり、城壁内のことをイチャンカラと呼ぶのである。いわゆる旧市街であり、歴史のある建造物がその中に凝縮されている。

陽気なタクシーの運転手と、ウズベク語、ロシア語、英語、日本語をごちゃまぜにして会話していたのだが、こちらは寝台列車の暑さと疲れで頭痛がしてきたので、話すのがツラくなってきた。それを察知したのか運転手は会話をやめ、携帯電話を取り出した。誰かと電話しながら運転し始めたのである。けっこう飛ばして運転しているのでこちらはハラハラするのだが、彼にとっては普通のことらしくスイスイと車線変更して進んでいく。このへんのマナーというかルールは、アジア全般で甘い。そのようなマナーやルールががすでにあって、それを守ろうとする日本のような国は世界では少数派なのである。

窓から照りつけてくる太陽の熱さで干からび始めたころ、イチャンカラに着いた。

しかし、我々が泊まろうとしているカラホテルというのを運転手は知らないという。聞いたことがないと。それもそのはず、カラホテルは出来たばっかりでまだ本格稼働もしておらず、日本に向けての情報も全くないホテルだ。今となっては自分たちもどうやって見つけたのか覚えていないが、城壁内・キレイ・手頃なお値段の3拍子が揃っていたので予約したのである。

運転手がとりあえず別のホテルに車を止め、中のスタッフに聞きに行ってくれた。暑さにやられていた自分たちも、エンジンの止まった車の中にいることは不可能だったため一緒にホテルに入らせてもらった。

そのホテルのスタッフがカラホテルに電話してくれたらしい。カラホテルのスタッフがこちらに来てくれるという。待っている間、干からびていた自分たちはこのホテルでミネラルウォーターを買い、クーラーの利いたロビーでしばしの休憩をさせてもらった。

車で来るのかなと思っていたら、少年のように見えるカラホテルのスタッフが1人で歩いてきた。彼は一緒にタクシーに乗り込み、道案内をしてくれた。

ようやく着いたカラホテルは、なかなか雰囲気のあるキレイなホテルだった。フロントで手続きしていると、このホテルに泊まる日本人は我々が初めてだとスタッフが言う。このときのために覚えておいたいくつかの日本語で接してくれた。なかなか好感が持てる。

ヒヴァはとにかく暑い。砂漠気候のため、5月でも昼間は35度を超え、湿度も10%を切ってくるためカラッカラになる。昼間はホテルで昼寝するに限る。夕方になってからイチャンカラの散策に出かけた。

歴史のあるイスラム建築やメドレセ(神学校)、ミナレット(塔)など、まさに中世そのままの光景である。民族衣装を着た女性が井戸の水を汲み上げている。小さな子供たちを、年上の子供たちが面倒を見ながら一緒に遊んでいる。観光客が目に入りさえしなければ、本当に中世にタイムスリップしたかのようだ。イチャンカラはコンパクトにまとまっており、歴史映画のセット内にいるようにも思えてくる。すばらしい!この感覚を味わうためにここに来たと言っても過言ではない。本当に素敵なところである。

夕陽が照らす町並みを何枚も何枚も写真に収める。どこを切り取っても絵になる。一大観光地とはいえ、イチャンカラには普通に人が住んでいて、ちょっと裏道に入ると生活のにおいがする。暗くなってきたのに表で遊んでいる子供たちが親に怒られていたりする。

日が暮れ始めてきたのでホテルに戻った。今日はこのホテルの屋上で夕食をとるのである。屋上からはイチャンカラの町並みが見える。楽しみである。

次回、「360度イチャンカラ」に続く。。。
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360度イチャンカラ