第8章 テンション高めの日本人 


最終日。
今日はおみやげを買いに行こう! となり、センターポイントという大きなデパートへと出かけた。
長い旅ならその都度その都度で買ったものがお土産になるが、短期滞在だとどうしても購入する日を作らなくてはならない。
もちろん誰もお土産など要求してはいないのだが、色んなものを見ることができ、相手は店員さんではあるが、現地の人と触れ合えるショッピングはなかなか楽しいものである。

朝から部屋で、ヨメさんはディズニーチャンネルのアニメ版「Mrビーン」を見て笑っている。
昨日の朝も見ていた。
こちらにはこのアニメ版Mrビーンの絵が描いてあるTシャツも売られている。
ヨメさんも一番のお気に入り番組となったようである。

準備を済ませ、タクシーに乗ろうとホテルを出ると、そこでベルボーイに、「No bus?  No shuttle bus going to the town? Really?」、と驚いている夫婦がいた。
40代半ばぐらいか、見た目と英語の達者具合から華人ではないかと思われる。
どうやら彼らも私たちと同じくセンターポイントに行きたいらしい。
そこでだんなさんの方に、「We are going to Center Point, too. Let’s share a taxi.」というと、「Good. It’s nice to… 日本人ですか?」と言われた。
「Yes, え、あ、日本人? 日本人ですか?」 
お互い日本人だったようである。

それだけで何やら意気投合し、タクシーではずっと話しっぱなしだった。
だんなさんは2回目のコタ・キナバル。そしてなんと奥さんは8回目とのこと。
「はまるよ〜、ここははまるよ〜。」と、なぜか2回目のだんなさんが嬉しそうに言う。できればここに住みたいらしい。
彼は何やら宗教関係の、どうやら伝道師的な仕事をしているらしい。
今回はバケーションだが、仕事で来ることもあるという。
「三鷹に住んでるんですか? へ〜、私たちは八王子ですよぉ〜。私たちのほうが田舎もんですねぇ〜!」と、はっきりした口調でしゃべるだんなさん。
私のヨメさんがエステに行ったことを話すと、「あなたも行かれたんですか?」と聞いてくる。
「いや、僕は行かなかったんですけど…」と言うと、「そりゃそうですよね! あんなのイヤですよ! 体触られたりなんかして! 気持ち悪いですよね!」と、これまたやたらと滑舌のいい発音で話してくる。
なかなかテンションの高い日本人である。

そうこうするうちにセンターポイントに着き、料金をワリカンにして別れた。
「今日帰るんだったら日本円のほうがいいですよね!」と、何やら計算して100円玉と10円玉でくれた。
最後までテンションの落ちない人であった。

このセンターポイントは日本人旅行客のテリトリーに入っているのか、日本人をよく見かける。
しかし皆声がでかい。海外ということで、必要以上にテンションが上がっているのだろうか。
ここでも関西弁のおばちゃんはすごかった。一人しゃべるだけで、センターポイントにいるのに近所の西友にいる気分になってしまう。
ものすごい破壊力である。

ヨメさんはプレゼント用にと、自分用に買った腕輪をもっと買いたいらしい。
が、腕輪はところどころで見つかるのだが、なかなか良いのが見つからない。
その間、ボルネオコーヒーを買ったりサバ・ティーを買ったりした。
おもしろいことに、デパート内でも同じ商品を扱っている店が複数あり、店によって値段が違うのである。1階で買ったものが2階ではもっと安かった、ということがある。不思議な感じである。

ここでまた、店員さんから出ました! この質問! 
「Are you Korean?」 ・・・上田雄士は本当によく聞かれるのである。
仕方がないので逆質問してみた。「どのへんがKoreanに見えますか?」
するとその女性店員、「英語を聞いた時に日本人だと思ったけど、顔の感じが、中国人か韓国人かと…。いや、話すのを聞けば日本人なんだけどね。」と言う。
ちなみにこの旅では、シンガポール人、マレーシア人にも間違えられた。なぜなんだろう? どうしてなんだろう?

この日は最高に暑かった。
空も晴れ渡り、太陽を見るとクラクラする。
こんな日が続くだろうと思っていた、まさにそんな日になった。
昨日まではスコールもあり、案外過ごしやすかったのである。

このあとセンターポイントを出たのだが、のどが渇くので、私たちの間で大評判のテタレを飲むため、とある店まで歩いた。
ここでも出てきたテタレはとってもおいしい。
「うまいな〜、これはうまいな〜」と、また二人して絶賛の嵐であった。

今日の夕方には空港に向かわねばならない。残念ながらもう時間がない。
一旦ホテルに戻り、荷物を受け取って、送迎のジェイソンを待った。と思ってロビーをよく見たら、もう彼は来ていた。

送迎車に乗り、空港へと向かう。
その途中、ジェイソンが「ほらここ、競馬場です」と指差した。 
え? 競馬場? そんな情報はどこでも見かけなかった。
土日だけやっているという。
それは知らなかったなぁ…。
もちろんイスラム教の国であってもギャンブルはできるのだが、ここの土地柄、そういうものには何やら違和感を感じた。

しかしジェイソンは日本語がうまい。
「どこで日本語を勉強したんですか?」と聞くと、「3ヶ月間集中で、大学で勉強しました」とのこと。
誰でも3ヶ月間、様々な言語から選んで勉強できるらしい。
「旅行者はどこの国の人が多い?」と聞くと、最近は韓国人が多いという。
どうやら韓国からの直行便が就航したらしい。このせいで韓国人に間違えられる比率が高くなったのか??

空港に着いて、ジェイソンとともに写真を撮った。
来た時は夜中のため気づかなかったが、この空港は現在大改修中で、2,3年後には大きな空港として生まれ変わるという。
さらに観光客が増えそうである。
人々が純朴さを失わなければいいのだが、と、おせっかいな心配をするのだった…。

次回はいよいよ最終回、「最後にして最大の?!」へと続く…。

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