第1章 やるな! マレーシア航空!!

コタ・キナバルまでは直行便で5時間半。
・・・しかし、それは週2日だけで、私たちは結局クアラルンプール経由で行かなければならなかった。
まず7時間。その後乗り継いで2時間半。
・・・「飛行時間の短さ」が利点で選んだはずが、案外長めのフライトとなってしまった。
しかし、ヨメさんは飛行機が大好きである。何年か前イタリアに行ったらしいのだが、その時も飛行中はウキウキして楽しく、一睡もできなかったとか。そしてイタリアに着いて、「もう終わり?」とガッカリしたらしい。
興奮するポイントがちょっとズレている気がするが、このぐらいの飛行時間は、彼女的には必要なのである。

飛行機が無事離陸すると、早々とスチュワーデスに入国カードを渡された。
そうや、外国行く時はこんなん書かなあかんねん。なんとなく思い出してきた。
手持ちのボールペンが一本しかないので、ヨメさんが先に記入し始めた。
こういうのは間違えないように慎重に書くものである。しかしヨメさん、書き始めてすぐ「あ、間違えた。」とつぶやいている。名前を書く欄に、いきなり旧姓を書いてしまったようである。
「二重線で消せばいいんちゃう?」と言うと、「そっか」と書き直している。
ところがしばらくするとまた「間違えた!」と言う。
今度は何?と思って見ると、[以前、別の名前でマレーシアに入国しましたか?] の欄に、「シャングリラ・タンジュンアル・リゾート・・・」と書いている。
あんた、そんな名前だったのか。 
二人して、「あ〜あ。どうすんのこれ? 二重線で消しても書くスペースないやん!! ど〜すんの?!」と騒いでいると、何も言わずにスチュワーデスが新しいのを一枚くれた。

や、やるな、マレーシア航空。

ちなみにスチュワーデスはマレーシアの人種構造を反映してか、中国系にマレー系、そしてインド系の人が混在している。

最近の国際線はみんなそうなのかは知らないが、私たちの搭乗するマレーシア航空には、それぞれの座席にパーソナルテレビがついている。
映画やテレビ、CDアルバムやラジオ番組などが好きに選べて見放題聞き放題なのである! 
それらを楽しみながら非常に快適に過ごすことができた。機内食も問題ない。おいしく食べられる。
素敵だぞ! マレーシア航空!! 飽きないね! この飛行時間!!
あたりが暗くなってきたところでクアラルンプールに着陸となった。ここから国内線で乗り継ぎ、ようやく現地時間の夜中12時、コタ・キナバル空港に到着したのである。

人もまばらなその空港から外に出てみると…。
やはり暑い! 夜中とはいえ、真夏のにおいである!!
来てしまった。とうとう着いてしまった。常夏のボルネオ島に!!

今回はホテルと航空券のパックツアーのため、空港にはお迎えが来ているという。
3組日本人観光客が集まり、ホテルへの送迎車に乗り込む。するとあとの二組はなんと、スーツケースにつけていた錠が取り外され、なくなっているとか!! そしてファスナーも開けられ、中を物色されたような痕跡があるらしい。
おー、怖い怖い。おそらくクアラルンプールでの載せ替え時にやられたのではないだろうか。私たちは事前にそれを予想し、鍵を後付けする必要のない、磁気によるロック&ダイヤルロック併用型のスーツケースを購入していたのである! 
よって無傷であった。やるな、私たちっ!

迎えに来てくれたのは日本語ペラペラのマレーシア人・ジェイソン。「13日の金曜日ではないですよ」と掴みのギャグを放ち、私たちをホテルへと連れて行ってくれる。
到着すると、そこは予想に違わぬおしゃれででっかいリゾート・ホテルであった!! でかした! エスティー・ワールド!!(←旅行会社)

広々としたロビー。おしゃれな通路。チェックインを済ませ部屋に到着すると、フライトの疲れもどこへやら、一気にテンションがあがってしまい、部屋の写真をパチパチと撮り始めてしまった。
シャワーを浴び、ようやく午前2時半に就寝。このシャワーがまた外国であるという前提を裏切って、ちゃんとお湯が出続けてくれるのであった。

次の日は日曜日。日曜だけやっているという、朝のマーケットに行きたい。
きれいに整えられた真っ白なシーツのベッドにもぐりこみ、深い眠りに落ちていった…。

次回、「思い出せないフルーツ」に続く・・・。
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