第7章 料理は指定、味は未定? 


ヨメさんがエステから帰ってきた。
聞くと、とにかく色んなオイルを塗られ、色んなマサージを受けてきたという。
何やらアロマチックな香りをプンプンさせている。そしてスッキリした顔。
エステが終わった後に何か言われたらしいのだが、英語でよく分からなかったという。どうやら明日の朝までシャワーには入らないでね、ということと、もう一つ何か言われたらしい。「4時間は、…なんやろ? 4時間どうのこうの言われてん。フォーアワーズ、アク、アキネ、アク…」。
よく分からない。おそらく4時間ぐらいかけて体に塗ったオイルがしみ込むから、シャワーに入らないでってことじゃないの? なんとなくそう理解し、この日もディナーへと繰り出すことにした。

一度だけでは飽き足らず、この日もまたダンスが見たい! ということで、昨日とは違う店だがやはりダンスの見られるところへと出かけた。
しかも自分で食材を選んで、料理法も指定できる店だという。
そんなこと自分でうまく決められるとは思わないが、せっかくだから試してみたい。とりあえず行ってみることにした。

タクシーで到着すると、運転手が「何時に出てくる?」と聞いてくる。
この店で待つというのである。
街の中心からは少し離れていたので戻るのもムダが多い。タクシーが流しで客を拾うことはないため、ここで待ってもう一度私たちをホテルへ送る方が無難、ということだろう。
適当に時間を告げ、店へと入った。

店内に入ると、野菜が並んでいる、魚介類が泳いでいる!
「さあ、なんにしましょうか」と言われたものの、なんという野菜なのか、どんな味なのか、海老も2種類あるらしい。どっちがどうなのか。
カニもいるぞカニも。で、どうする? 
魚が泳いでいるぞ、魚が。で、どうする? 
さっぱり掴めないのでとりあえず、自分の感覚と相談してみる。
うむ、海老が食べたい、かな。
というわけで「Prawnを…」というと、網でごっそり大量に海老を拾い上げた。
値段はいくらなのか、それより食べ切れるのかとドギマギし、「いやいや、半分でいいよ、半分で!」というと、「了解」とばかりに少し減らしてくれた。

ヨメさんは牡蠣を食べたいという。はい、見事にオイスターが並んでおります。
そして野菜が食べたい、カニの入ったスープが食べたい、と注文し、その場その場で値段を教えてくれた。「しめてこの値段になるよ」と書いて見せてくれるので、安心して席に座ることができた。
店員も英語が不完全なので、こうして意思の疎通ができるとありがたい。
ただ、料理の方法・味付けなどはおまかせとなった。

座ると、もう民族舞踊が始まっていた。昨日と同じような内容である。
昨日よりこちらのダンサーの方がちょっと上手かな、といった感じか。
やはりこちらも吹き矢とバンブーダンスがあった。定番のようである。
今度は舞台上に上げられまいと、降りてきたダンサーから必死で目をそらす我々日本人夫婦であった。

出てきた料理はこれまた美味で、いくらでも食べられる。少し大目の量だったが平らげてしまった。
ここで食後にサバ・ティーを頼んだ。(ちなみにサバとは、コタ・キナバルのある州の名前、サバ州のこと。魚ではない。) 
これがまたうまかった! どうやら砂糖の代りに練乳を入れて飲むようである。
しかしこの練乳、日本のものとも少し違うようである。何やらにおいがする。一体なんなのだろうか…。

満腹になり、ご満悦で店を出るとタクシーの運転手が時間を持て余してウロウロしながら待っていた。
ホテルまで送ってもらい、待っていてもらった分のチップまではずむと、「サンキュー」と嬉しそうに受け取った。
タクシーの運転手は皆、自分から料金を言うことがない。降りるときも何も言わずに待っている。そして、「待っていたんだからもっとくれ」、などと言うこともない。控えめな感じである。
将来観光客が増えても、いつまでのそのままでいてほしい。

さて、明日はもう最終日だ。夜の飛行機に乗って帰らなくてはならない。
まだ何の予定も決めていなかった。明日は何しようか…。
そう思いながら眠りに就いた。

次回、「テンション高めの日本人」へと続く…。
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