終章 最後にして最大の?! 


コタ・キナバル空港を飛び立ち、クアラルンプール国際空港へと着いた。
クアラルンプールはいつも真っ暗である(夜にしか着いていないだけだが)。

しかしこの空港で、今回の旅の最後にして最大の買い物をヨメさんが成し遂げるのである! 
はい、その通り! 免税店ですよ、免税店! 女性陣が大好きな、税を免じてくれる店ですよ!

ヨメさんは以前から、COACHとかいうぶらんどのサイフとかいう物体が欲しいと、東京のデパートで眺めていた。でも値段的にほんの少し手が届かなかったらしい。海外旅行に行くと決まった時、ひょっとしたら免税店で買えるのでは…、と虎視眈々と狙っていたのである。

行きにクアラルンプールに着いたときは、夜も遅く免税店は閉まっていた。
今回も似たような時間に到着。当然閉まっているだろうと思っていたら、行きに比べて人も多く、ショップもあちこち開いている。
しかし、…歩けど探せどお酒や宝石、チョコなどの免税店はあるが、コーチだか監督だかいう店は見当たらない。
搭乗時間まであと10分、どうしても見つからないのでそろそろ搭乗ゲートへ行くしかないか、とあきらめかけたときに、…おや、あのきらびやかな看板は…? 
おお! あれはHERMES! そしてLOUIS VUITTON! 女性に優しく男性に厳しい名前がズラッと並んでいるではないか! 
すると少し先の方に…、あった! COACHだ! ありましたよ! サイフの税を免じてくれるコーチだか監督だかの店が!

思わず店まで走ってしまった(なぜか私だけ)。店員に、「サ、サイフはないかね!」と尋ねると、はい、もちろんあります、こんなデザインにあんなデザイン、そんなカラーにどんなカラー? ということで、出してもらったのはニューアライバルのカラーと、前からヨメさんが狙っていたカラー! 
来ました! 電卓をはじく店員。日本で買うより2割は安い! どっちのカラーにしようか悩んだあげく、やはり最初から狙っていたカラーにした。

これにて、最後にして最大のショッピングは10分にして終了したのである。
ホクホク顔のヨメさん。何やら急にふくよかになったようにも見える。

そしてクアラルンプールを離陸し、成田に向かった。帰りは6時間のフライト。
この飛行機はかなり揺れた。途中、ジェットコースターのように激しく下降し、客席から「キャ〜」という声も漏れたぐらいに。
気流の悪いところを通過したらしい。

しかし、無事成田についた。
30度以上の所から気温5度の早朝の日本へ。暖冬とはいえ、やっぱり日本は寒いのである。

成田から自宅へと戻った。おみやげや洗濯物を広げ、機内でほんの少ししか眠れなかった私たちは、早々とふとんを敷いて昼間からグーグー寝た。

後日、旅行中に撮った写真ができあがったので見てみると…。
ヨメさんが撮った料理の写真は全てピンボケ。近すぎるのかフラッシュのたき忘れか、いやそれ以上に、ちゃんと料理がフレームにおさまっていない。
見事なカメラマンぶりである。
そして夜に撮った写真は何が写っているのかほぼ分からない。
私の「戦う気のないダンス」の写真も、何が写っているのかさっぱりわからない。
しかし案外、防水仕様の使い切りカメラは感度が良く、きれいに撮れていた。

ま、しかし写真なんてどうでもいいんですよ、本当のところ。なんつってもコタ・キナバルは、私たちの心の中に鮮烈なイメージを残しておるのだから。

これで、我々二人のコタ・キナバル旅行記は終了である。
5つ星ホテルにも泊まったし、スコールのおかげで多少過ごしやすい日々となったこともあり、非常にマレーシアの印象は良い。
また行くことになるかもしれない。

二人とも、日焼けでヒリヒリする足の痛みだけを残しながら、また普通の生活に戻っていったのであった…。

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以上でコタ・キナバル旅行記は終わりである。
短期の旅行にも関わらず、長い長い連載企画となってしまった。
他愛もない話の羅列に最後までお付き合い頂き、大変恐縮である。
普通ボルネオ島といえば、オランウータン、ジャングル、キナバル国立公園(登山)が有名なのだが、日数が短いこともあり、それらには一歩も足を踏み入れなかった。
街と海だけによる、全10回のコタ・キナバル旅行記、これにて終了!
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