第5章 ファイブ・アイランド・ホッピング!

翌朝。ツアーに出るため朝早くに起きた。
事前に日本で買っておいた防水仕様の使いきりカメラを持参し、ビーチへと降りていった。そこから沖にある5つの島を巡り、シュノーケルなんぞをするツアーに出るのである。

ライフジャケットとフィン、ゴーグルにゴザまで貸してくれる。
私たちの足を見て、「このぐらいのサイズかな」と適当にフィンをくれる。
日本の場合だと事前に足のサイズを確認されるのだが、ここはその場で適当に割り当てられるのである。

私たちと同じツアーの人は、アメリカ人中年カップル、中国系アメリカ人家族、若いオーストラリア人カップル、一人で旅しているアメリカ人じいさん、それと我々日本人カップルの10人であった。
そして英語によるガイドがつく。
それにしても、昨日も今日も日本人を全く見かけない。ホテルではあんなに見かけるのに、一体日本人観光客はみんなどこへ出かけているのだろうか??

まず1島目は、ガヤ島だ。
ここはフィリピンからの不法(?)滞在者が水上集落を作って住んでいる。
この島には上陸せず、遠くから集落を見るだけとなった。
ガイドによると、国がこの地域を国立公園に定めるずっと以前から、フィリピノたちはあそこに住んでいた。だから国は強制的に退去させることもできない。違法なのか、既成事実なので合法というべきか…。

去り際に、フィリピノの子供たちの漕ぐ舟が見えた。手を振ると、向こうも振ってくれた。

2島目はサピ島。とりあえずここでシュノーケルとなった。
ゴザを敷いてその上に荷物を置いていると、ガイドに「荷物をとられないように気をつけて」と言われた。
誰に取られるのかと聞くと、「テングザル」と言う。この土地特有の猿である。最近は人が増えて出てこなくなったのだが、子供や女性には襲いかかることもあるという。
アメリカ人じいさんが「じゃあどうすればいい」と聞くと、ガイド、「じゃあ私がここにいるよ」と言って、監視してくれることとなった。

これらの島は基本的に無人島である。昔はそれぞれ所有者や住人がいたらしいが、国が買い取り、皆出て行ったという。現在は観光客がシュノーケルやダイビングをしに来るところとなっており、それ用のレンタルショップが用意されているのみである。

このサピ島、海に入ってみるとかなり浅いとこから魚が大量にいて、ダイビングなんかをしなくてもシュノーケルで充分楽しめる。海もきれいなので、はりきって防水カメラで写真を撮り始めた。

気になるのはあのアメリカ人じいさんである。ライフジャケットもゴーグルも持たず、ただフィンだけをつけて海に入っていく。かなりのベテランのようである。

1時間ちょっと滞在したところで、次の島へと移動となった。次はマヌカン島。ここはサピ島よりも大きい。非常に天気が良く、空も海もビックリするほど青い。
ここでもシュノーケルをし、しばらく砂浜に寝そべっていた。

そんなツアーの中、私は一つの目標があった。それは…、何もこうして宣言することではないのだが、…海の中でおしっこをすることである。
いや、これは変な趣味として(?)やりたいのではなく、要するに、今までシュノーケルを何度か経験しているのだが、やはり体が冷えるのでどうしてもおしっこに行きたくなる。海に入る人はみな、なんだかんだと海中に放尿しているものだが、私は今まで一度もできないでいたのである。
どうしても出ない。出そうとすると、体が「出しちゃいけない!」と指令を出すようである。ゆえに、いちいち陸に上がり、トイレを探さなくてはならない。これでは毎回、大変なのである。今回は頑張ってチャレンジしたいのである。(頑張るもんじゃないか?) 

あまり持たせる話でもないので結論から言うと、出た。2度もしでかした。ブイが浮いている安全ラインの端までフラーっと行き、その、あまり人の来なさそうなところでフワーッと。
ようやく念願達成である。

ここでおもしろそうだったのは、簡易潜水艦と銘うって、カプセルのついた、フィットネス用の自転車のような乗り物が砂浜に並んでいたことである。
何分いくらで貸してくれる。これに乗ればダイビングの免許がなくても、海の底へと呼吸をしながら潜れるよ、てなことらしい。
結局チャレンジはしなかったが、何人か乗っている人がいた。色んな商売を考えつくものである。

さて、次は4島目のスルグ島。ここは現在、ほったらかしで管理されておらず、時々人が来て釣りをするぐらい。なぜほったらかしなのかはガイドも分からないが、ほったらかしらしい。
なかなか海も砂浜もきれいだったので、もったいない限りである。
すると中年アメリカ人夫婦がボソっと漏らした。「この島、買えないかしら…。」
一体何者?!

そしてラストの5島目。ここでお昼ご飯となった…。

次回、「ジョークの応酬」へと続く…。
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