9. 料金交渉と関西人について考える


アジア旅行では、おもしろいのだが面倒くさいものが1つある。それは料金交渉である。
物を買う時やタクシーに乗る時、自分で料金を交渉しなくてはならない。
全て組まれているツアーだったり、交渉したくない場合は別にしなくてもいいのだが、向こうの言い値だと間違いなく外国人用ボッタクリ料金ということになる。

バリにおいてはタクシーはメーターつきであった。安心して安く乗れる。しかし服や雑貨を買おうと店に入ると、そこには一切値札がない。交渉しなくてはならない。

最初は物価がよく分からないので、店員がいくらで売りたいかをまず聞くことになる。そして、その半分にしてくれというのがとりあえずの交渉方法だと言われている。(半分と言った時点で、すでにぼったくられているのだという話も聞く。しかし旅行者が現地人と全く同じ値段で買うことはムリだろう。ただ私の印象では、バリでの言い値はまだ良心的な気がする。)だんだん分かってくれば、まずこちらの払える値段を伝えるほうが交渉を有利に進めやすい。

そんな料金交渉を進めていると、もうこれ以上どうにもならないという膠着状態になる時がある。もう下がらない。
そこで、「ここらでいいか」とあきらめるその前に、本当にこれ以上安くできないかどうかを確かめる方法がある。それは、「NO」と言ってその場を立ち去るのである。
もう少し安くできる場合は、必ず店員が追いかけてくるのである。
(追いかけてこなかった場合は残念、もう一度戻って買いましょう・・・。)

これはタイやインドでタクシーの交渉の時に得た経験である。それで得られる料金が、ほぼ外国人料金の底値に近い。それでも彼らにとっては、現地人に売るより外国人の底値のほうがもうけは高いのである。

話は変わるが、バリ島では関西弁の観光客を多く見かけた。アジア諸国ではけっこう関西人が多いような気がする。これはひょっとすると、この「料金交渉」にあるのかもしれない、と思ったりする。
つまり、特に大阪のおばちゃんなんかはどこにいっても日本語で、「もっとまけてぇや〜」とやれる図太さを持っているからである。まけてもらおうとすることに、それほどの面倒くささを感じないのではないか。

我々もバリ人に日本語で、「はいもうちょっと勉強します、勉強しますよ〜」(=安くする)と言われたりした。この言葉は関西人が教えた、もしくは関西人から盗んだものではないだろうか。商いの町、大阪人がその主体であろう。

この値切りに対する素養、これがあれば料金交渉に対する心の負担は非常に少ない。
関西人は料金交渉の必要なバリ島旅行に、何も臆することはないのかもしれない。
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