4. バリと沖縄について考える


バリに来て最初に思ったのは、どことなく沖縄と似ているということである。

バリにはバロンという守り神がいて、寺院や家の門に掘り込まれている。私は一目見た時から、シーサーにそっくりだなと思っていた。よく似ている。
また、バリと沖縄では家の門が似ている。入ったところについたてのような壁があるのだ。全く同じ構造である。
音楽の音階、これもバリと沖縄で同じである。いわゆる西洋の音階とは違う。
そして、バリ舞踊を見に行くと舞台に必ず大きくてカラフルな傘が置いてあるのだが、沖縄でも同じようなものを見た。非常によく似ている。
また人の見た目や平均して身長が少し低い感じも、初めて那覇空港に降り立った時の印象に似ている。

そして何より驚いたのは、バリ島では色んなものを混ぜた料理のことをチャンプールという。沖縄のチャンプルーと同じ。またあるスーパーの名前を見て驚いた。「マタハリ」となっている。沖縄民謡「安里屋ユンタ」に「マタハリぬチンダラ、カヌシャマヨー」と出てくる通り、マタハリという言葉はウチナンチュにはなじみのある言葉だ。同じである。

また、沖縄には「みるく」思想というのがある。赤田首里殿内(あかたすんどぅんち)という民謡の中に「みるく」という言葉が出てくるのだが、これは仏教の弥勒菩薩(みろくぼさつ)の思想と同じものである。いわゆる仏教の弥勒菩薩の思想は、いつかこの世が悪によって支配されようとした時、弥勒が我々衆生を助けに来てくれる、というものであり、「みるく」はここから転じて単に五穀豊穣をもたらす神様として信仰されている。そしてその「みるく」の国は南方にあるのだ、と言われている。南方というのが一体どこの国をイメージしているのか全く見当もつかなかったが、バリに来て思ったのである。あ、みるくの地はここか、と。

ムリヤリ思おうとしているように見えるかもしれないが、全くの異国で似たようなものに出会うと何かあると思わざるを得ない。なんでこんなに似ているのだろう? 気候から来るものだけではないと思うのだが・・・。

仮説によると、バリと沖縄は昔は1つの大陸でつながっていたのだとか、あるいは昔から交易が盛んだったからその名残だとかいうものらしい。
なさそうな話はおもしろいが無理があり、最もな意見は納得できるがおもしろみがない。

ここはあえて突き詰めずに、自分で勝手に思いを馳せて楽しむほうがいいのかもしれない。

バリと沖縄は似ている。
沖縄好きの自分だからこそ、バリをとても気に入ったのかもしれない。
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