アラビアン・ナイトメアー


前日は買い物デーになったので、今日は近くにある博物館に行くことにした。

すぐ近くにあるにも関わらず、大きな道路がホテルと博物館を分断していて渡るところがない。
遠回りだがタクシーで行くしかなかった。

KLではタクシーのうんちゃんと言えど、英語がしゃべれてなかなか愛想も良い。
危険な香りが一切しない安心な乗り物である。

この国立博物館では、マレーシアの歴史が順を追って展示してあった。
ポルトガルからオランダ、イギリスに支配される歴史である。しかし西洋の支配を追い出したのは同じアジア人の日本である。これを機に独立の気運が高まり、日本は敗戦して去っていったが、その後再びやってきたイギリスから、マレーシアは独立を勝ち取ったのである。そのリーダーが、インド人街の通りの名前にもなっていた、トゥンク・アブドゥル・ラーマンである。

この博物館の映像コーナーで上演される物語は、50年前の独立を知るおじいさんがそれぞれマレー系、インド系、中国系の3人の小学生に、独立当時のことを教えるという形で進行していく。
これがなかなかシンプルでおもしろい。

マレーシアはどうやら侵略された歴史というのを大々的には出さないのか、とにかくこの三民族が力を合わせて独立を勝ち取ったのだという、民族融和的な構成でもって独立が語られる。この考えこそが、マレーシアが多民族国家でありながら平和に発展を達成できたゆえんであろう。そしてこの三民族全てに尊敬されたのがラーマンであると。すばらしい。

最近はインド人が増えてきて暴動もあったとか聞くが、そんなことは絶対にするなよインド人。

独立を宣言している場面の映像が白黒で流れた。身震いするほどしびれる映像だ。この映像の場所こそ、我々がカウントダウンを過ごしたあの独立広場(ムルデカ・スクエア)なのである。
シンプルだがとても感動的なストーリーであった。

その後、国立のモスクへと行き、コタ・キナバルで見学した時と同じようにヨメさんはローブを着せられ、中に入っていった。

ここはさらに規制が厳しいのか、お祈りをする場所にさえ入ることはできなかった。インドでイスラムのお祈りに紛れ込んだ自分はよっぽどまれな経験をしたのだろうか。ここでは男性も、短パンの人はローブを着せられていた。

そして夜は、・・・はい、今回の旅もやっぱりこれです! 
ダンスを見に行くのであります!! 
モノレールで7駅、食事をしながらダンスが見られるサロマシアター・レストランへ!!

着いてびっくりした。やたらと大きくてきれいな店構えである。「こんなに豪華なとこでやるの・・・?」と少し入るのがためらわれたが、多めに両替してきたし大丈夫、と中に入っていった。

入ると奥に大きなステージがあった。
最前列のテーブルは全てアラブ人が独占している。今回の旅で一番気になったのは、アラブ人旅行者の多さである。特に女性は真っ黒のベールを身につけており、逆にそれが目立ってしまう。ブランド店のひしめくスリヤKLCCでも、英語、中国語、日本語の横にアラビア語の説明文がついているのである。

ここはビュッフェ形式で料理を自分で選んで食べる。我々が取り終えると早速ダンスが始まった。

ここのダンスはとても洗練されていた。元はマレーシアンダンスなのだろうが、エンタテイメントとしてきれいにアレンジされているようである。
見ていて飽きない。音楽のテンポも速いものが選ばれているようだ。
中には1つの演目の中で、様々な衣装のダンサー達が出てくるものもある。各地方の民族衣装をアレンジしているのか。ひょっとすると良い演出家がいるのかもしれない。

インド舞踊、またボルネオ島のサラワク、サバ州のダンスもあった。そして最後はバンブーダンスでお客さんを何十人も舞台に上げ、一人ずつトン、パンパン、トン、パンパンと、足をはさまないように跳ばせていた。

ここで気になったのは、前を陣取っているアラブ人のマナーの悪さである。全てのアラブ人のマナーが悪いわけではないのだろうが、ダンスが始まると立ち上がってビデオを撮る。後ろの人は見えない。店員が座るように注意するのだが、それには耳を貸そうともしない。

ヨメさんの目撃談によると、ショーの後、先ほど注意をしていた店員が伝票を持ってきてアラブ人グループに会計をお願いしたのだが、そのリーダー格のアラブ人が「お前の伝票は受け取らない」というジェスチャーをして追い払ったというのである。わざわざ別の店員が持ってきて手渡すと、「料金が間違っている。こんなに払えるか」と言った上、レジまで来てイチャモンをつけていたのである。

かわいそうなマレーシア人スタッフは途方にくれ、しかし何も悪いことはしていないのだからと正規の料金を気弱に要求している。マレーシア人はけんかごしに来た人に対し、決してけんかごしで返すことはないのだろう。

このままアラブ人がお金を持て余し、さらに世界に出て行って醜態をさらすことがないように願いたい。現在は中国人のマナーの悪さが世界を騒がせているようだが、アラブ人も頑張れよ!と言いたくなる。(おそらく日本人も形の違いこそあれ、バブル時代はひどいマナーだったかもしれないのだが・・・。)

しかし、ダンスは非常に良かった。値段はやはりそれなりにしたが、最後はダンサー達との記念撮影もできて良い思い出となった。ヨメさんはその中にとても背が高くてイケメンのダンサーを見つけており、お願いしてツーショット写真を撮らせてもらった。私にはどう見ても阪神タイガースの江草にしか見えないのだが、ヨメさんは日本ハムのダルビッシュに似ていると言う。どっちの例えも野球選手というのがまたおかしい。

いよいよ明日は最終日。午前中に飛行機に乗って日本に帰らなければならない。

だいたいやりたいことはやり尽くした気がした。
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