象とブッダの歯


次の日、ワゴン車に11人で乗り込み、スリランカ中央部にある古都・キャンディへと観光に連れて行ってもらった。

この旅は、アローシャのもう一人の弟である14歳のマリスが仕切ってくれる。
彼はとってもしっかりしていて、とても中学生とは思えない。ワゴン車の一番後ろに座り、時折運転手に指示を出しながらこの旅の一切のコーディネートをしてくれるのである。

コロンボからキャンディまではかなり遠く、車で3時間半ぐらいはかかる。まずは象の孤児院へと向かった。

到着したのはもうお昼頃だった。象たちは川で水浴びをしているという。
川へと降りていくと、そこには大小いろんな大きさの象たちが体を洗ってもらっているではないか!!
この光景は圧巻であった。この熱帯雨林の景色、この頭数、日本で見ることはまずないであろう。
水浴びを終えた象たちが、我々のすぐ目の前を歩いて通っていく。でかい。いくら優しそうな目をしていても、間近で見るとものすごい威圧感である。

その後、キャンディの街中で昼食を摂った。
驚いたことにキャンディは大都会である。車や人がうじゃうじゃいて、まるで渋谷にいるかのようである。
そして遠くの山の上には真っ白なブッダの像が立っているのが見える。この遠さであの大きさ。相当デカいのだろう。
街中を歩いていると日差しが強くて首のあたりがヒリヒリしてくる。汗が吹き出す。なんといってもここはインドよりもさらに南、暑いわけである。

この後、仏歯寺(ダラダー・マリガーワ寺院)というところに行った。
なんでもブッダの歯が祀ってある寺だという。歯自体を見ることは出来ないが、それが祀ってあるという場所の前にはたくさんの信心深いスリランカ人がいて、座り込んでお祈りを捧げている。
ここキャンディでは毎年ペラペラ祭りというのがあり、数百頭の像とキャンディアンダンスのダンサーたちがブッダを祝福して行進するのである。その時、この歯の入っている容器が取り出され、象の上に乗せられるという。

この仏歯寺は仏教の聖地であり、ゆえに「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE、通称タミルタイガー)という、タミル民族の分離独立を唱えているテロ組織に爆破されたこともあるという。

スリランカは主にシンハラ人(74%)と、このタミル人(18%)がいて、内戦状態となっている。テロは通常、政府系組織等が標的となるため、特に観光地をターゲットにしたものではないが、停戦協約を結んでいるとはいえいつどこがテロの標的になるかは分からない。
そういう意味ではスリランカは決して安全に旅行できる国ではない。空港にもライフルを持った軍人が警備していたし、ハイヤーに乗って空港からホテルへ行く途中にも3回も軍人の検問を受けた。これは常に行なわれているものらしい。特にホテルエリア周辺では警備が強化されているという。

そんな仏歯寺をあとにし、今度は一転、植物園へと向かった。
今まで見たこともないような花々が咲いている。さすが熱帯と言うべきか、もの凄くカラフルで原色の強い色をしている。
また香辛料の木々が集めてあるエリアもあり、そこからはとってもスパイシーな香りがただよってくる。
さらに日本庭園なるところもあった。しかしその庭園に行ってみると・・・??? これが日本庭園? え〜?
なんとなくイメージだけで作ったかのような、日本人にとっては全く日本らしくない日本庭園であった。

その後夕方になり、ホテルへと連れて行ってもらった。
みんなはゲストハウスのようなところに泊まるのだが、我々二人だけは日本で予約していた、キャンディではあまりにも有名な一流ホテル・カンダラマに泊まるのである! 
果たしてどんなホテルなのだろうか・・・!?

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その昔バックパッカー、今や一流ホテルを自慢する?