ハッピー・ウェディング!


数時間の深い眠りから覚めた我々は、ホテル1階にあるレストランで朝食を摂っていた。
いよいよ今日、アローシャの結婚式がこのホテルで行なわれる。

寝不足とフライト疲れでボーッとしていたが、周りを見るとスリランカ人や西洋人ばかり。それを見て、ようやくスリランカに着いたという実感がわいてきた。

まさか、ほんとにスリランカに来てしまうとは・・・。
ほんの数ヶ月前には想像もできなかった展開である。

そんな我々がねぼけまなこで朝食を食べていると、ロビーのあたりに照明やらカメラを持った人たちがウロウロし始めた。
なんか始まるのか・・? いや、これはもしかすると・・・。
しばらくすると、いかにもスリランカ風というようなきれいな白のドレスに金の飾りを施した、アローシャが登場したのである! 

一気に目が覚めた我々はあわてて食事をたいらげ、ロビーへとすっ飛んで出て行った。

アローシャの周りには親戚や大学時代の友達がいる。その中には一度だけ東京で会ったことのある、アローシャのお母さんの姿もあった。はるばる遠くへようこそ、と歓待を受けた。

いとも簡単に出会ってしまった。式の開始までにはまだ1時間以上あるが、すでに庭やロビーでの写真撮影を開始していたのである。

我々はアローシャの近くに駆け寄り、3人並んで写真を撮ってもらった。
3週間ぶりに会うのだが、久しぶりという感じが全くしない。つい昨日も会っていたような感じである。しかし、今日のアローシャは豪華絢爛。それにひきかえ我々は、朝起きたばかりであまりにもみすぼらしい格好をしていた。そのためかアローシャに「この格好で式に出るの・・・?」と不安げに聞かれてしまった。
いえいえ! これはパジャマみたいなもんですから。

これから少し休憩して、その後、別会場にて式が始まるということらしい。
我々も準備にとりかかり、招待状に書いてあった通り朝10時半に会場へと向かった。

すると、もう式は始まっていた。10時ぐらいからやっていたらしい。
何もかも唐突である。

アローシャとダミンダは一段高いところにいて、参列者が二人を囲むように立って見ている。参列しているのは親戚や友達、近所の人、また我々のように日本から来た者、ダミンダが住むオーストラリアから来た人など、合わせて100人ぐらいだろうか。

二人は参列者の方を向いて立っており、時々参列者と目を合わせたり、式次第を進めている牧師なのかグル(導師)なのかは分からないが、彼の言う通りに指輪の交換などをしている。この会場でそのまま食事会となるため、まわりにはいくつもの円卓が置いてある。

突然、「ブォ〜!」というホラ貝のような音が鳴り響いた! びっくりして見ると、式次第を進めている男の人の横に、何人かのキャンディアンダンスの衣装を着た男たちがいて、まさにホラ貝のようなものを吹いているのである。吹くタイミングは決まっているのだろうが、いつ吹かれるか分からない我々は「ブォ〜!」と鳴る度に「ビクッ!」と驚いてしまうのだった。

そんなことには全く構わず、新郎新婦はいい笑顔。私やヨメさんとも目が合った。参列者も二人の写真を撮ったりして、和やかな雰囲気である。

1時間半ほど続いただろうか、式が終わりみんな席に着いて食事会となった。
各テーブルを廻る二人。我々は日本式に1万円札を包み、お祝いとして渡した。

新郎新婦の周りにはアローシャの妹であるティリニとティランギ、弟のチャミルにマリスがついてサポートしている。二人の妹同士は傍目には全く区別がつかないほどよく似ている。双子なのである。しかし性格は双子とはいえ似ているわけではなく、ティリニは陽気で前に出るタイプ、一方ティランギは少し控えめで奥ゆかしいタイプである。

途中お色直しがあり、アローシャは着物の生地を使った赤色のドレスに着替えて出てきた。
そして髪には、京都で買ったかんざしが。
和風のきれいなものを着たいというアローシャの願いを見事に形にした衣装である。

二人はそのまま生バンドの前で踊り、友達もみな周りで踊り始めた。
シャイな我々日本人たちは、遠めに写真を撮ったりするだけだったが・・・。

とにかく新郎新婦が一方的に何か用意して進めていく、というのではなく、参列者のみなさんも一緒に楽しんでください、というような結婚式&食事会であった。

6時間にも及ぶ式&パーティを堪能してお開きとなった。

そして・・・。忘れてはいけない、我々はアローシャに荷物を渡さなければならなかった。帰国時、アローシャは一人で持って帰れないほどの荷物を持っていた。郵送するのもお金がかかるので、我々がバッグにつめて日本から持ってきていたのである。
それと、京都で撮った舞妓さんの写真を渡さねば。ここでいう舞妓さんとは、アローシャ本人である。京都旅行に行った際に舞妓体験をしたのである。素人さんが着物を着せてもらい白粉を塗ってもらって舞妓さんに大変身! というやつで、スタジオでの写真撮影の後、そのままの格好で京都の町を人力車に乗って散策するのである。どう見ても、間違いなく、日本人ではない舞妓はん。真っ白に塗られてはいるが、明らかに濃い顔立ち。それでもなぜかとっても似合っているのである。京都の町を散策中は人に取り囲まれ、やたらと写真を撮られてしまったという。

その写真を嬉しそうに見ているアローシャ。喜びと疲れで妙にハイテンションである。

新郎新婦や友達は、夜にまたこのホテルにあるクラブで集まるという。そこでまた会おう! ということになり、一旦その場は別れた。

とても和やかでいい結婚式だった。アローシャも幸せそうだったし、それが何より嬉しい。というより安心した。
はるばる来た甲斐があったというものだ。
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幸せ絶頂・疲労も絶頂