あまりにもスゴいのにまったく人にはオススメできない映画No.1 ~邦画編~


今回と次回は、「あまりにもスゴいのにまったく人にはオススメできない映画」No.1を紹介したい。
今回は邦画部門No.1、そして次回には洋画部門No.1をご紹介しよう。

さて、邦画で紹介したいのは、1979年公開の映画「太陽を盗んだ男」である。
どれぐらいの方がご存知だろうか? 興行的には失敗だったようだが、なんと主演は当時絶頂のアイドルにして大スター、ジュリーこと沢田研二、共演に菅原文太、池上季実子という、なかなかの豪華キャストで挑んだ映画である。

この映画、キャストもすごいがそのストーリーもすごい。
やる気のない中学の理科の教師(沢田研二)が、原発からプルトニウムを盗み、なんと自宅で原爆を作ってしまう。
そしてそれを脅しに使って、理不尽な要求をあちこちに突きつけていく。「プロ野球のナイターを最後まで中継しろ」だの、「ローリング・ストーンズの日本公演を開催しろ」だのと・・・。
これだけ聞いているとタダのおバカ映画かと思うかもしれないが、まったくそうではない。いたってシリアスで、なんとも言えない説得力のある映画なのである。

そして監督は、知る人ぞ知る長谷川和彦。「次回作が最も見たい監督」と言われながら、この映画の後、結局一本も撮っていない伝説の監督である。ちなみにこの監督が撮ったのは2本のみ。これ以前に一本だけ撮っている。

さて、この伝説の監督、ウィキペディアを見てみるとこれまたすこぶるエピソードが並んでいる。ものすごい酒豪で、酔っぱらった勢いで人身事故を起こし六ヶ月の実刑。また、あるプロデューサーに「青函トンネルを題材にした映画を書いてくれ」と言われ、北海道に取材旅行に行き、飲み食いでお金をすべて使ったあげく、「竜飛岬にUFOが降りて来る」という謎の脚本を書いて持って帰り、大激怒されたという。

とにかくこの映画は、発散させる方向が分からない若者のとてつもないパワーを描いた映画である。
マニアックな男が密かに思っていることを具現化させたらこうなりますよ、というような、ある意味鬱屈した男にとっては夢のような話かもしれない。この雰囲気は、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デニーロ主演の「タクシードライバー」(1976年公開)にも似ている。この時代に典型的な空気だったのかもしれない。あの映画のような、マジメな異常者を取り上げたような作品が好きだという方はどうぞ見てください。ただし、見終わった後の爽快感は全くありませんよ。

私がなぜこの映画が好きかというと、先ほども書いたが、この監督はもう一本映画を撮っており、そっちも大好きだからである。この長谷川監督には今から10年ほど前にも、日本赤軍を題材にした映画を撮るだの撮らないだのという噂が流れていた。これも結局頓挫したらしいが、30年の時を経て、もう一本撮るのか撮らないのか、果たして撮る気があるのか、私は未だに次回作を最も期待していたりする。

さて、次回は洋画で一本、「あまりにもスゴいのにまったく人にはオススメできない映画」を紹介しよう。
乞わないご期待。
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