長渕剛の衝撃の歌No.1


自分が中学生のときから聞き続けている唯一の歌手、それが長渕剛である。

昨今は芸人やらラップ歌手やらが長渕ファンを公言し、時にはアツく、時にはオモシロおかしく語ってはいるが、一般人のレベルで「どういう音楽聞くんですか?」と聞かれて「長渕っす」とでも答えようものなら、「…へ〜」という微妙な返答で会話が終わってしまうことは間違いない。そこから頑張ってくれる人でもせいぜい「あ〜、『乾杯』ね」とか「『とんぼ』か…」と言ったきり、息絶えてしまう。

だからといって、こちらからいろいろ説明して、あれがいい、これを聞けといっても、ファンじゃない人の心には一向に響かない。その思いをここにぶつけるというわけではないが、今回は長渕の歌の中でもあまりにもインパクトの強い、衝撃の歌たちを紹介したい。
Japanese R&Bとか心地いいカバーアルバムなんかが好きな方にとっては、あまりにも刺激の強い選曲となることは間違いない。要注意である。

それでは「長渕剛の衝撃の歌」No.1、今回も誰もワクワクしないランキング形式で行ってみよう!

まずは第5位!『Captain of the Ship』(1993年リリースのアルバム「Captain of the Ship」に収録)

長渕史上最長、13分にも及ぶ歌である。しかも後半7分はひたすら語るというか叫びまくっている。「行くのは誰だ! やるのは誰だ! そうお前だ! お前が舵を取れ!」だの「お前が行くから道になる!」だのと「お前」の連発、そして「早く行け! 早くいけ! 立ちはだかる波のうねりに突き進んで行け!」と、一体どこに突き進んでいいのか分からなくなるアドバイス、「感じてくれ〜! 感じてくれ〜! 幸せはなるものじゃなく感じるものだ〜!」とちょっぴりウマいこと言ったようにみせかけて、最後はひたすら「ヨーソロー! ヨーソロー!」の大連呼。よくぞこんな歌を作り、歌いきってしまったなという衝撃の歌である。

ちなみに昔、一度だけこの曲をカラオケで歌ってみたのだが、最初の6分が終わった時点で「さぁこれから!」というときに、曲が勝手にフェードアウトして終わってしまった。誰かが「終了」ボタンを押したわけではない。どこのメーカーだか知らないが、最初からそういうカラオケのアレンジにしてあるらしい。長渕ファンの激怒を買っていることは間違いない仕上げである。

さぁ、めげずに次にいってみよう!
これまた衝撃の第4位!『勇次』

オリジナルの曲はとてもいい曲だ。まだ長渕も若く、声もきれいに澄んでいた時代の歌だ(1985年リリース)。衝撃なのは、1999年にリリースされたセルフカバーアルバム「俺の太陽」に収録されているバージョンのほうである。

先ほど、『Captain of the Ship』で「語り」のような部分があると書いたが、このセルフカバーバーションの『勇次』はなんと、全編「語り」になっているのである。歌詞を歌うのではなく、語っているのである。このアルバムの1曲目にいきなり、歌ではなく、伴奏に乗せた「朗読」を聞くことになる。さすがの長渕ファンもド肝を抜かれる。

昔の歌をライブで歌ったり、セルフカバーをするときの長渕の傾向として、時が経てば経つほど大幅なアレンジが加わる、というのがある。年月が経つにつれて歌が進化するわけだ。しかし「朗読」になってしまうとは、誰も予想しなかったに違いない。

ところが、である。これを何度も聞いていると、その曲の世界がまた違った形で見えてくるだけでなく、一体「音楽」とは何なのか、「表現」とは何かについてまで考えさせられてしまうのである。歌がうまいとはどういうことか、うまいことがいいのか、はたまた不器用な表現でも心にしみる言葉や歌が存在するのはなぜなのか…。

ここまで考えてくれる長渕ファンはそういないかもしれないが、想像を超えた衝撃のアレンジにどうしても深読みをしてしまうのがこの曲である。

さらに衝撃は続く!
第3位!『知らんふり』(2010年リリースのアルバム「TRY AGAIN」に収録)

歌が始まっていきなり誰もが耳を疑うのは間違いない。なぜなら一言目が、「刃渡り30の出刃包丁」だからだ。
この曲を初めて聞いたのは、夜寝る前だった。ウトウトしかけたころにこの一言が耳に入り、思わず飛び起きてしまった。
実はこの歌、数年前に秋葉原のホコ天であった無差別殺傷事件をモチーフに作られたものなのである。人が刺される様を、携帯電話で写真に撮っていたという野次馬。この事件、状況、そのすべてに怒りと嘆きを込め、大胆に作った歌なのである!

この曲を出す数年前、まさにあの事件が起こった直後、長渕はNHKの「ようこそ先輩」という番組に出演している。これは有名人が母校を訪ね、数日間にわたって生徒たちに特別授業を行うという番組だ。長渕は地元の鹿児島の高校を訪ね、そこで授業を行うのだが、すでにこの時この事件のことをトピックに高校生たちと会話をしている。
この授業のシーンは圧巻だ。長渕の思いを乗せた言葉に、生徒たちが涙をこぼしている。

この時すでにアイデアはあったわけだ。しかし、直後にリリースされたアルバムには入っていなかった。結局、事件から時を経てその次のアルバムに収録されたため、かなりのタイムラグが発生し、ファンの間でも「で今ごろ?」という感があったのは否めない。しかし、それでインパクトが落ちたことを考慮に入れたとしても、あまりにも力のある歌に仕上がっている。
いつ聞いても心拍数が上がってしまう。何かしながら聞ける歌ではない。聞けるもんならぜひ聞いてみてほしい。覚悟を決めて。

さて、ここからはご安心くださいよ。2位と1位はひたすらカッコいい長渕だ!
第2位!『巡恋歌』

1978年リリースのデビュー曲(正確には再デビュー曲)である。この曲も驚くのはアレンジである。ライブに行けば必ずといっていいほど聞けるこの歌だが、女性の恋心を歌っているのに、ビックリするほどギターをかきならす。

この曲のアレンジは、実はまだまだ進化を続けているのだが、80年代後半から90年ぐらいのアレンジがすばらしい。その頃の映像を見つけたので、とにかく次のリンクを見てもらおう。「夜のヒットスタジオ」に出演した時の映像である。YouTubeに誰かが上げてくれている。

http://www.youtube.com/watch?v=Pbq8Yabg9FI

見ての通り、曲の始めには後ろでタレントたちが移動しているのが見える。前の曲が終わってすぐに長渕に歌わせたのだろう。サングラスをかけ、キャップを前側だけ深くかぶり、何やら競馬帰りのおっさんのような出で立ちで歌い始める長渕。後ろのほうにあるセットの桜の木や、座って聞いているWinkの二人がちょいちょい映されるなど、長渕との違和感はこの上なくある。彼はギターもハーモニカも全部自分一人でやるため、スタジオ内にいる他の歌手のバックバンドも手を休めて見ている。まるで幕間の演目のようにも見えるのだが、そんな中、彼の歌とギターがあの伝説の長渕キックのように炸裂するのである!

圧巻のパフォーマンス…。出演者もみんなじっとして聞くしかない。これぞ長渕の真髄である。
スゴいのは3分以降。かと言ってそこからだけ見るのではなく、全部見てほしい。

さぁ、いよいよ最後となりました。ラストは長渕史上最高との呼び声も高いこの歌!
第1位!『Stay Dream』(1986年リリース)

もうこれは…、なんちゅうか…、スゴすぎるでしょう…。
こんなに心の支えになる歌が他にあるかぁ??
自殺しようと思っている人に聞かせれば思いとどまらせることができる、そんな歌である。
どうしょうもなく! 落ち込んだ時に聞けば! 涙が! 止まらない!(←気持ちが高ぶったのでビックリマークいっぱいつけただけ。)
これ以上語る必要もない。聞いてみ。とりあえず聞いてみ。

とういわけで、今日はこれぐらいにしておこう。これ以上語ると心拍数があがって眠れなくなってしまう。
以上、「長渕剛の衝撃の歌」No.1でした。
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