エドイスト



一般的に、「東京で話されているのが標準語」などと言われる。
確かにこちらでは子供からお年寄りまで、総じて標準語でしゃべっている。

しかし、こっちに来て初めて思ったのだが、ばあさんが話す言葉に「なまり」がないというのはあまりに風情がない。
やはりジジババは何を言ってるのか分からないぐらいなまっている方がいい、その方が愛嬌がある、などと思ってしまう。

ところがよくよく聞いてみると、やはり東京には東京の方言があった。
『江戸っ子弁』である。
主にこちらのじいさんが話す言語形態である。
そして、その中でもよく使われる言葉は3つである。

すなわち、「あたりめぇだろ!」「バカやろう!」「しょうがねぇなぁ!」。

自分は長らく郵便配達のバイトをやっていたのだが、ある時、書留を配達していると配達先の家の前でタバコを吸っているじいさんがいた。
そこで、家の人かと思い「あの〜、〇〇さんですか?」と尋ねてみたところ、出ました、江戸っ子弁。

「あたりめぇだろ!」。

宛名をフルネームで読むと、「俺じゃねぇかよバカやろう!」。
そして、書留なのでサインをお願いしますと言うと、「しょうがねぇなぁ!」・・・。

こっちは何にも悪いことをしていないのに、なぜか怒られたような気分になる。
江戸っ子である。これが江戸っ子弁である。

最近ようやく、怒られているようでもそうではないことが分かってきたのだが、なかなか慣れない。
しかも江戸っ子は声がでかい。
こっちの発言にはおかまいなく自分の間(ま)でしゃべってくる。
数字が出てくると必ずサバを読んで多く言う。
ホラを吹く・・・。

つまり、エゴイストならぬエド(江戸)イストなのである。

なかなか扱いが大変である。
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