英語は千差万別


快適なネパールから、またインドへと戻る時が来た。
日本に帰る日も近づいており、時間のロスを省くためカトマンズからは飛行機で移動することにした。

空港で待つこと1時間。
搭乗時間になっても、なかなか案内されない。
どうやら乗るべき飛行機がまだ到着していないようである。
その後、空港の待合でウトウトしかけた頃、ようやく搭乗となった。
飛行機に揺られること1時間半、いよいよこの旅の最終目的地、インドのカルカッタに着いた。

空港を出た瞬間、タクシーの運転手や物売りたちにワ〜っと囲まれる。
カルカッタでは物乞いに囲まれて大変らしい、と聞いていたのでかなり覚悟していたのだが、そういった物乞いだけは残念ながら(?)いなかった。
やはりこのあたりもあまりの評判の悪さに、そして実際たくさんの物乞いたちがいて、彼らが放つ異様な雰囲気と異臭は物凄かったらしく、それらを一掃しようと政府が立ち上がったのだろう。

日本を出る前に見た空港の写真とは、全く違うこざっぱりした様子になっていた。
それでも、・・・やはりここの人間のパワーには押されっぱなしだった。
なんとか振り切り、カルカッタ市内へと走るバスに乗り、チョーロンギーやサダル・ストリートといった繁華な道へと出た。

ホテルを探すが、安くて自分たちに合ったものは満室ばかり。
そうこうしているうちに陽が落ち、あたりが暗くなってきた。
ストリート・チルドレンならぬ、ストリート・ファミリーもたくさんいるようなところ、だんだんと危険な香りがしてくる。

そこで西洋人のカップルに声をかけられた。

「ルッキン・フォー・エイ・ローブ??」
「え? なんて? ローブ?」
「ローブ。エイ・ローブ」

何を言ってるのか分からない。日本人の自分が言うのもなんだが、英語のなまりが強すぎる。まだインド人の英語のほうがよく分かる。

「ローブ、ローブ」

どうやらルームと言ってるらしい。
そこで我々が知ってる英語を駆使し、

「そう、room! Are there any convenient and inexpensive guesthouses available around here? Do you know? Have any idea?? 」

なんかええホテルないかい、と聞いてみると、

「ア・ティン・ザッ・トゥリ・ウッ・・・・」

また意味不明の英語が返ってくる。
指を差しているので、あっちの方にあるらしいと言ってくれてるらしい。
どう考えてもウチら東洋人の英語の方が聞き取りやすいぞ。

ちなみに、どこの国から来たの? と聞いてみたところ、
「イングランッ」 イギリスだとか。
いわゆるなまりのない綺麗なイギリス英語というのは、ロンドンとその近郊でしか話されていないという。
ちょっと地方に行くと、全然何を言ってるのか分からないと聞いたことがある。

大学の時、スコットランド人の知り合いがいたのだが、Rの発音などかなり違っていたがまだそっちの方が聞き取りやすかった。
またオーストラリアを旅行した時も、街で声をかけられ、「今日は1人でブラブラしてますが、友達と来たんですよ」と話すと、「オー、イズ・イット・ア・ゲーイ?」と言われたことがある。
トレイン(電車)がトライン、デイ(日)がダーイになるオーストラリア英語、「その友達は男(ガイ)か?」と聞いているのか、「そいつはゲイか?」と聞いているのか、どっちか分からず困惑したことがある。

1つの言語とはいえ、世界中には千差万別の英語が存在する。
結局、彼ら西洋人カップルに指されたあたりにも、安ホテルはあったのだが全て満室だった。
仕方がない、彼らに礼を言い、少しはずれたとこまで歩いてみることにした。

すると、かなり豪華な入り口のホテルがあった。
中に入ってみると、クーラーがききすぎるぐらいきいている。
試しに料金を聞いてみたところ、かなり安い。あいているという。
これは掘り出しもんめっけたぞ! とばかり、ここに宿を取る事を決め、ボーイの後について2階にあがった。

すると2階は、1階とは見違えるほど、・・・ボロかった。

要は入り口の1階だけ新しく綺麗にしてあったらしい。
騙された気もしたが、どっちにしても安かったので良しとしよう。

部屋に着いた途端、我々は疲れがドっと出て、荷物をかついだままドカっとベッドに座り、動けなくなった。
その様子を見たボーイが、「受付でお金を払うのは後でもいいよ。ちょっと休みな」と言って去っていってくれた。
「サ、サンキュー・・・」と消え入るような声をしぼりだした我々。

すると1分もしないうちに、またさっきのボーイが来て、「早く受付に来いよ。」

・・・どういう意味やねん・・・。

なんとか荷物を降ろし、ポテポテと受付まで行き、パスポートを見せ、支払いを先に済ませる。
部屋に戻ろうするとボーイがチップをねだる。
あまりにうるさいので、ほんの少し掴ませてやったが、ついでだと思い、マザーハウスの場所を聞いておいた。

マザーハウス・・・。
あの「神の愛の宣教者会(Missionaries of Charities)」の本部、つまり、マザーテレサがいるところである。
そう、ここカルカッタに来たのは、そのマザーに会ってみたいと思っていたからだった・・・。

次回、そのマザーに会えるかどうか???

乞うご期待!!

カルカッタ編Part.2に続く!
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