ムエタイについて


立ち技最強と言われる(?)ムエタイ(タイ式キックボクシング)を見に行った。

バンコクにはルンピニーとラチャダムヌンという2つのスタジアムがあり、それぞれ開催される曜日が違う。
テレビでもよくやっているのだが、やはり生で見たい。

夜になってトゥクトゥク(3輪バイクタクシー)を拾い、会場へ向かった。
入り口付近にワッサワサ人がいる。もちろん男ばかり。
少し怖い気もしたが、向こうの方に1人だけおばちゃんがいて、こっちを見て手招きしている。
どうやら案内人のようだ。
こっちが日本人とみてとると、「こっちへ来んしゃい」と言わんばかりに一等席へと連れて行こうとする。
「いや、三等席に入りたいねん!」とおばちゃんの案内をふりきり、三等席のチケットを買い、中に入った。
リッチな旅行者というより、タイの庶民と同じような位置で見てみたかったのである。

おばちゃん、ちょっぴり哀しそうであった。

中に入るとすでに試合が始まっていて、熱気ムンムンである。
リングからはかなり遠い。そして二等席との間に金網がある。
座席ではなく、階段状になっており、そこに座る。もしくは立ったまんま。
なるほど、旅行者は一等席に入るわけである。

さて、次の試合のコールがあると、観客の中のおっさんが急に後ろを振り向き、客席に向かって何やら指を立てている。
どうやら賭けを募っているようだ。
そんな男たちがあちこちにいて、独自のレートで賭博をやっている。
もちろん違法なのだが黙認されているようだ。
おおっぴらではないが、お金の受け渡しが行われる。

さあ、試合が始まるようだ。

まずは音楽がなり、選手がそれぞれお祈りを始める。
準備運動にもダンスにも見えるような動きである。

さあ試合が始まった!

お互いかなり積極的に攻める。
「アウトボクシング」なんていうスタイルはないようだ。
クリンチの状態になってもそのままうまく足を折りたたみ、お互い膝を相手の腹にお見舞いする。
この時の掛け声があって、「イー!」、もしくは「イン!」のように聞こえる。
大きなキックが決まった時は、「オーイ!」という掛け声がスタジアム中から響く。
激しい試合になると、「オーイ!」「オーイ!」「イー!」「オーイ!」と、会場中からひっきりなしに歓声がおこる。
そして試合展開によってレートが変わっていくらしく、1人が倒れそうになると、男がまた後ろを振り向き、指を立てている。
お金の受け渡しが行われる。

いやいや、庶民のパワーを真近で感じるにはもってこいのポジションだ。
試合のみならず、観客席の戦いも見られて非常に満足であった・・・

国旗・国歌について



タイ国民は国旗と国歌、そして国王に敬意を払っている。

まぁ普通どこの国でも敬意を払うものだが、チャイナタウンの店なんかに入ってもタイ国王の写真が飾ってあったりする。
そして毎夕5時(6時やったかな?)になると、公共の場で国歌が流される。

一度バンコクのホアランポーン駅にいる時に、ちょうど5時を迎えた事があった。
すると国歌が大音量で流れ出し、スクリーンに国旗が映し出された。
するとそれまで歩いていた人たちが、駅員も通りすがりの人も旅行者も全員足を止め、その場で直立不動になるのである。
終わるまでそのまま。
みんなありとあらゆる方向を向いたまま突っ立っている。
日本にはない異様な光景であった。

またある日にはちょうどその時、テレビを見ていた。
するとどのチャンネルも国歌を流し、国旗を映し出すのである。
チャンネルを変えても、どこもそうであった。
いや、厳密に言えば一局を除いて。
そう、たった一局、違う番組をやっていたのである。
何をやっていたか?
何でしょう?
なんやと思う??(←ちょっと嬉しそう。)

ドラえもんである。
全局国歌に国旗、一局だけドラえもんである。
藤子不二雄、強し。
その他、テレビで言えば、日本のドラマもよくやっていて、ちょうどその頃、織田裕二主演・「東京ラブストーリー」もやっていた。
それもかなりつたない吹き替えで、セリフの始めにところどころ織田裕二や鈴木保奈美の声が聞こえて、そのあとタイ語の音声が入る。
そしてその間、車や街の騒音などの背景音が消える。
タイ語音声が終わると、また背景音が入る。
つたなすぎる録音であった。

さてさて、そんなこんなでバンコクではバスをうまく使いこなし、ワット・アルンや巨大な涅槃仏があるワット・ポーを訪れたり、歓楽街であるパッポンやタニヤ通りを覗き見てみたりと、何事もなく存分に楽しんだ。
やはり2度目、いろいろと要領を得ていて楽チンなのである。
しかし、そんな居心地のいいバンコクを発たねばならない時が近づいてきた。

いよいよインドへ向けて、期待と不安が高まっていった・・・。

さぁ、いよいよ次回からインド編に突入! 第一章「デリー編」をお送りします!!
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