ほっこりクリシュナタウン


さてさて次の目的地は、電車に2時間ほど乗らなくてはならない所、インド・ヒンズー八百万の神のうちの一神、クリシュナの生誕地と言われているマトゥラーである。
デリーのような大都市ではなく、むしろ田舎の風情がただよう小さな町だという。

大きなバックパックをかついだ我々2人は、網棚まで人が座っている超満員の電車に乗り、暑くて辛い2時間を過ごした。
電車の窓から見える景色は、自然にあふれ、閑散としている。
しかしやはりそこは聖地、マトゥラー駅を出るとたちまちリキシャ(自転車タクシー)のおっさんたちに囲まれた。
(ちなみにこの「リキシャ」は、日本語の「人力車」が語源だという)。

我こそ安く速く目的地へ連れてってやると、客を取ろうと必死である。
一番安い値を言ったおっさんのリキシャに乗り、狙っていた安ホテルへとこいでもらった。

だいたいこういうリキシャマンは、こいでる途中で他のホテルを薦めてくる。
おそらくそこへ客を連れて行くと、何ルピーかのマージンがもらえるのだろう。
1つがダメならもう1つ、それもダメならまた別のホテルはどうだと・・・。
生活がかかっているのだから必死である。
しかし全て断る。
だいたいちょっぴり高めだから。
とにかく貧乏旅行、何もかも日本円に換算して「安い安い」と金をバラまくような事はしないでおこう、そんな旅である。

目的のホテル前へと着いた。
するとこのリキシャの運転手、急に言ってた値段より高い額を請求してくるのである!
「さっき言ってた額と違うぞ」と言うと、そのおっさん、「ウチには子供が4人いる。それに母ちゃんにじいちゃんにばあちゃんに・・・。どうやって飯を食わすんだ。」
知らんがなそんなん。

普通の日本人ならここでかわいそうになって払ってやるのだろうが、意外とガンコ、予想外に癇癪もちのうへだゆふじは、負けたような、何か利用されたような気になるのがイヤで頑として受け付けない。
いやむしろ飽きっぽいところもあるので、交渉が長くなりそうだとスンナリ折れる時もある(どっちやねん)。

そうこうしていると、そこのホテルのマネージャーらしきおっさんが出てきて仲裁に入ってくれた。
「どうしたんだジャパニー。私に話してみなさい。」とでも言わんばかりの堂々とした態度。
こっちの説明を聞くと運転手を説得、最初の言い値だけ払えばいいようにしてくれたのである。

・・・なぜか自分の思い通りになると、急に申し訳なくなるのは私だけだろうか。
寂しそうに帰っていくリキシャマンの背中を見て、これでよかったのかと自問するうへだゆふじであった・・・。

確かにこの町は、人こそ多いが風情のある町だ。
石畳の小道を歩いていると、あちこちにヒンズー寺院がある。
そして夜になるとひっそりと静まり、虫の声などが聞こえたりする。
あまりにも落ち着くので、友達に絵ハガキなんか書いたりする。

ちなみにこの絵ハガキ、日本に出そうと思ってPOSTと書いてある窓口に持っていき、料金を払って切手を貼ってもらったのだが、となりの窓口で何やらKSが係りの人とモメている。
どうしたのかと聞くと、KS、高い料金を請求されたというのである。
「え? 俺もう払ってハガキも渡してもうたで。」とうへだゆふじが言っても、
「いや高い。ここに書いてあるのと違うぞ。」とKSは譲らない。
何度か係の人と押し問答したあげく、結局KSが折れたのだが、後で日本に帰って聞いてみると、うへだゆふじが送った絵ハガキは全て届いていたのだが、KSのは誰にも届かなかったという。

・・・この時のイチャモンが原因か??

またある時、川をボーッと眺めていると中高生らしきインド人に声をかけられた。一緒にクリケットをしないかと。
その辺のくだりは「極私的偉人伝第二回」に詳しく書いたので、そちらを読んで頂きたい。
あまりにもバカでおちゃめな出来事であった。

さて、この地のメインと言えば、やはりクリシュナが幼少期を過ごしたと言われる、ヒンズー教巡礼の地・ヴリンダーバンである。
乗り合いタクシーやリキシャを乗り継ぎ、入り口近くまでやってきた。
そして歩いて中に入ろうとして・・・、たじろいでしまった!

なんとそこの入り口10メートルほどの階段(坂だったか?)の両脇に、何十人もの物乞いたちがズラーッと並んでいるではないか!
「ハーレ!クリシュナ!!」(のように聞こえる。おそらく「クリシュナを讃えよ」の意だと思われる)
などと叫びながら、小銭を入れる空き缶を高く持ち上げてアピールしてくる!
階段の両側で! 何十人も!

うー、こわいこわい。

露骨に避けるわけにもいかないし、何よりここまで来て中に入らないわけにもいかない。
意を決して前進じゃい!

なるべく見ないようにしてズンズン進んだ。
・・・さすがに飛びかかってきたりして危害を加えられることはなかった。
無事クリア。ほっと一息。

そして中に入った。
残念ながら中がどういうものだったか、まるで覚えていない、元からあまり建物には興味がないこともあるが、やはり物乞いのインパクトが強すぎて忘れてしまったようだ。
しかしあの光景こそ、想像していたインドの風景。
変な話だが、怖いと同時にとっても嬉しかったりした・・・。

さて、いつまでもここでのんびりしているわけにはいかない。
次なる目的地、タージ・マハルで有名なアグラへと向かった・・・。
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